ここから本文です

香りも、歯応えも、のど越しも最高!そば好きにはたまらない常陸秋そば

旅行読売 9月20日(火)20時30分配信

茨城県常陸太田市

 ――午前二時。私は、腹がへって来ると万年筆をはなして階下の台所へ下りて行くことがある。むしょうに蕎麦が食べたくなったときだ。(中略)たいていは、七味唐がらしのみで食べる。ネギもつかわぬ。――
 美食家として知られる小説家・池波正太郎のエッセー「食卓の情景」の一節だ。そば好きには食通が多い。そして彼らが一日千秋の思いで待ち望んでいるのが「新そば(秋そば)」である。
 「9月中旬、この辺りの丘の斜面や平地は白いそばの花で埋め尽くされます。その独特の香りをかぐと、そばは個性ある作物だと感じます。知るほどに、もっと知りたくなります」
 こう話すのは、茨城県北部の常陸太田市水府(すいふ)地区で農業法人水府愛農会を営む和田範政さん。そば好きが高じて仕事の傍ら、地元発祥の常陸秋そばを種蒔きから収穫、石臼引きまで一貫して生産する会社を立ち上げた、そばに“ハマった”一人だ。そば打ち歴は15年を重ね、そばに関する蔵書は140冊にのぼるという。
 常陸太田市は、久慈川や山田川、里川などの清流と緑豊かな山並みに囲まれている。特に北部の山間地は、昼夜の気温差の大きい気候と、傾斜地に拓いた水はけの良い畑の土壌をいかした、良質なそばの産地として江戸時代から知られている。この土地の在来種を茨城県が3年かけて選抜育成したのが、常陸秋そば。粒ぞろいの良さはもちろんのこと、香りの高さと甘みに優れていることが特徴だ。粘りがあり打ちやすいという声も聞く。
 「独特の甘みとほどよい苦みのある常陸秋そばは、そば職人や全国のそば通から高い評価をいただいています」と和田さんは胸を張る。
 そんな和田さんが打つそばは、今年7月、道の駅ひたちおおたにオープンした手打ちそば処「夢玄」で味わえる。水府愛農会が栽培し製粉したそば粉を使い、毎日10回ほど丁寧に手打ちする。
 地元産野菜のかき揚げ天ぷらが付く「天せいろそば(1000 円)」を賞味。二八で打ったそばは、噛むごとに口の中に甘みが広がる。ちょいとつゆにつけてたぐると、つゆの甘みとそばがマッチしてなんともうまい。
 和田さんは「現在では、茨城県全域で栽培されている常陸秋そばですが、やはり発祥の常陸太田産のものはひと味違うと自信を持っています。たくさんの人に立ち寄って食べていただきたい」と話す。

1/2ページ

最終更新:9月20日(火)20時30分

旅行読売

記事提供社からのご案内(外部サイト)

旅行読売10月号

旅行読売出版社

2016年10月号
9月2日発売

540円

第1特集 温泉達人が惚れた紅葉の秘湯
第2特集 秋の風物詩を探しに
特別付録 フラのまち・いわき温泉パスポート

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

暗闇で光るサメと驚くほど美しい海洋生物たち
波のほんの数メートル下で、海洋生物学者であり、ナショナルジオグラフィックのエクスプローラーかつ写真家のデビッド・グルーバーは、素晴らしいものを発見しました。海の薄暗い青い光の中で様々な色の蛍光を発する驚くべき新しい海洋生物たちです。彼と一緒に生体蛍光のサメ、タツノオトシゴ、ウミガメ、その他の海洋生物を探し求める旅に出て、この光る生物たちがどのように私たちの脳への新たな理解を明らかにしたのかを探りましょう。 [new]