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中高年巡礼の成否は“ゆとり”にあり

Wedge 9月20日(火)12時30分配信

[フランス中西部Le Puyからスペインの聖地Santiagoを経てMuxiaまで]
(2015.4.22-7.16 86days 総費用37万円〈航空券含む〉)

神のお怒りか? またまた天気は急変

 6月14日 朝から雲が重く垂れ込めていたが丘を登っていると雨が降り出した。なだらかな高原地帯なので巡礼道に沿って私の前後にそれぞれ数人歩いているのが見える。昼頃には雨が激しくなり前日に続き“ひょう”が降ってきた。
ひょうの直径は数cmくらいで雨合羽の上からビシビシとひょうが当たって痛い。幸いつばの広い麦わら帽子が緩衝となり頭や肩は大丈夫だ。とにかく広々とした高原なので隠れる場所がない。降ってきたひょうが畑や草地に積もる。

 ひょうが降りやむと今度は強い風が吹いてきた。体感温度がぐっと下がる。下着と長袖のシャツ一枚を着ているが防寒着は一切持っていない。最後まで我慢して携帯していた着古したダウンパーカー(800g)も“灼熱の国スペイン”の6月中旬なので最早不要と判断して数日前に慈善宿に寄付したばかりである。

 ガチガチと震えが止まらないが我慢して歩き続けた。1時半頃に小さな教会風の建物があったので小休止しようと入口の看板を見た。“Hostipal San Nicolas”(聖ニコラスの慈善宿)とある。さらに説明を読むと中世の古い教会跡を改装した慈善宿らしい。イタリアのペルージャに本部がある教会系慈善財団が資金を出して改装工事をして運営しているらしい。とにかく寒いのでここに泊めてもらうことにした。

“喜捨”と“お恵み”

 慈善宿はチャペルを改装したもので隙間風がヒューヒュー通り抜けており室内温度は外気とあまり変わらない。そのうち風が少し収まり薄日が差してきたので外のベンチに移動。貧相な東洋人が寒さに震えているのを見かねてベルギー人のおばさんが厚手のネルのシャツを「これを着なさい」と恵んでくれた。派手な赤、白、青のチェックの柄で私が着るとチンドン屋のようであるが背に腹は代えられない。

 有り難く頂戴して着込んだ。今頃私が寄付したダウンパーカーを誰かが着て、私は女性用のネルのシャツの“施し”を受ける。こうしてキリスト教における喜捨と互恵の精神を体感したのである。

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最終更新:9月20日(火)12時30分

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