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周囲を気にせず「真実」を見抜く方法~「正解主義」の呪縛を解け! ミライは逆風の向こうにある

現代ビジネス 9月20日(火)6時1分配信

 取材・文/古賀史健

 現代の課題は何世紀も昔の偉人たちが「答え」を出しているーー。特別対談の後編では、話がより深く発展していく。(前編はこちらから)

 京都大学客員准教授の瀧本哲史さんが、はじめて中学生に向けて書き下ろした話題作『ミライの授業』。

 アクティブ・ラーニングの先駆けとも言える「よのなか科」の取り組みでも知られる、元リクルート・フェローの奈良市立一条高校・藤原和博校長との対談も後編に突入。

 藤原校長が考える「教育の目標」とは? そして瀧本さんが『ミライの授業』に込めた真のメッセージとは? 

『ハリー・ポッター』を発掘したのは9歳の少女

 藤原和博(以下、藤原) じつはこの『ミライの授業』という本、さっそく一条高校の授業で引用させてもらったんですよ。

 瀧本哲史(以下、瀧本) そうでしたか。どの部分を? 
 藤原 うちの高校に、おもしろい男子生徒がいるんです。ぼくがこの高校に赴任してきて、「校長室を開放するから、いつでも話においで」と言ったら、彼は初日にやってきた。なかなか勇気があるよね。

 それで「君は将来、なにになりたいんだ? って聞いたら、ぼくの目をじっと見据えて「作家になりたい」と言うんだ。しかも、すでにたくさん小説を書いている。

 その彼に、『ミライの授業』にあったJ・K・ローリングのエピソードを話したんです。「あの世界一のベストセラー作家だって、最初は『ハリー・ポッター』の出版を12もの出版社に断られたんだ。自分を信じて書き続けろ」ってね。

 瀧本 しかも『ハリー・ポッター』の魅力を最初に発見したのは、出版業界のベテランではなく、わずか9歳の女の子だった。

 藤原 そう。アタマの硬い大人たちは「いまどき児童文学は売れない」とか「子どもたちはこんなに長い小説なんか読まない」と反対していたのに、たまたま出版社社長の娘さんが原稿を読んで、お父さんに大プッシュした。最高のストーリーじゃないですか。うちの高校の文学少年に、しっかり説明してあげましたよ。

 瀧本 それはうれしいですね。もともとこの本には、教育現場で教科書や副読本のように使ってほしい、という思いもありましたから。

 実際に読者からも「中学生のときにこんな授業を受けたかった」とか「この本を中高生の課題図書にしてほしい」「うちの子の学校でも、副読本として採用してほしい」といった声をたくさんいただいています。

 藤原 ぼくが1998年に宮台真司さんと一緒に出した『人生の教科書 よのなか』という本も、そうだったんです。この本はジャンル分けのしづらい本で、書評がひとつも載らなかった。宮台さんやぼくの本としては、極めて異例なの。

 ところが書店では大ヒットして、高校の先生たちが授業に使いたいと言い出してきた。それで高校で模擬授業をやったことがきっかけで、のちに東京都の公立中学で初の民間校長というキャリアにつながっていったんです。だから、瀧本さんのお話はとてもよく理解できる。

 瀧本 でも、実際に全国の中学校で授業をしてみると、やっぱり授業を受けてくれた全員に届くわけではないことに気づかされました。

 とくに地方では、大学生だけではなく、中学生までも保守的になっている印象があります。それだけ地方の大人たちが保守的になっている、ということでもありますが。

 藤原 そのとおり。だから教育者は、信じるしかない。自分を信じて、教育を信じる。こんなことをいうと宗教みたいだけど(笑)、実際それに近いと思うんですよ。

 ぼくの「よのなか科」という授業にしたって、あるいは部活動の経験が人生に与える影響だって、ほんとうの実効性を確かめるためには何十年にもわたって専門的な追跡調査をしなきゃいけない。それは現実的に不可能でしょ? だったら、自分の仮説を信じるしかない。届かないかもしれないけど、届くはずだと信じる。

 瀧本 我々が「本」を出版する価値は、そこにあると思うのです。普通に授業をしていたら、変革のメッセージが届くのは「100人に1人」かもしれない。せいぜい数パーセントかもしれない。でも、本というかたちにして何万、何十万という人たちに届ければ、100人が動き出し、1000人が動き出す。やがて1万人が動き出し、ミライが変わっていく。

 藤原 しかも本は、残るからね。テレビや雑誌と違って、5年後や10年後の読者にも読み継がれていく。

 瀧本 いま、ディベート甲子園で、司法制度を議論した高校生が法曹になったり、医療問題を扱った高校生が医者になったり医療ベンチャーを始めたり、あるいは、実際に政策を作ったり、政治に関わる人も増えてきました。

 地道に撒いてきた種が、ようやく芽を出してきたところです。それと同じように、この本を読んだ中学生たちには、東京オリンピック(2020年)以後の日本をつくっていってほしいんです。

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最終更新:9月20日(火)6時1分

現代ビジネス

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