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牛丼すき家ブラジル進出で好評、背景に国内の飽和状態

ダイヤモンド・オンライン 9月20日(火)6時0分配信

 「ゴストーゾ(うまい)!  これが日本ではやりの食べ物か」──。日本でも大いに沸いた五輪会場のリオデジャネイロから西へ約350キロメートル。南米最大の都市サンパウロ近郊で花卉農園を営む日系1世、藤原利貞さんは牛丼に舌鼓を打った。

 リオでは7日(日本時間8日)、パラリンピックも開幕し、ブラジルは世界から再び注目を集めている。日本から見てまさに「地球の裏側」のこの国で、日本代表選手に負けまいと、最大手の牛丼チェーンすき家(ゼンショーホールディングス)も奮闘しているのだ。

 日本人のブラジルへの集団移住は1908年に笠戸丸で781人が海を渡ったのが始まり。現在世界最大の日系コミュニティーを抱え、日本となじみが深い国だ。すき家が大手牛丼チェーンで初めて進出したのは2010年3月。当初は日系ブラジル人客を当てにしていたが、最近はブラジル人客の方が多い。右肩上がりに増えて現在13店舗。月末にもう1店舗増やす予定だ。

 関係者によると、サンパウロ中心部の日本人街リベルダージの店はすき家店舗別月額売上高でたびたび世界第2位に躍り出る“銀メダル級”の人気店になった。約140席もある店内はアニメのイラストなどで内装され、日本文化の発信拠点としてもアピール。牛肉、玉ネギ、米など材料のほとんどは地元か周辺国で調達している。

 もっとも、ここに至るまでには障壁もあった。第一に、多くの日系人にとって、牛丼はなじみが薄い食べ物だった。集団移住が終わった70年代は、日本ではまだ「牛丼チェーン黎明期」。先駆者の吉野家でさえ77年にはまだ100店舗余りしかなく、ゼンショーは設立すらされていなかった。

 第二に価格。牛丼並盛で日本とほぼ同額の11~13レアル(約350円)で、現地のホットドッグのおよそ3倍にも上る。

 しかし、肉好き、主食は米、日本に好意的──といった日系人やブラジル人にウケる要素はあり、徐々にブレークした。

 ブラジルでは強盗など凶悪犯罪が多発しており、「治安は年々悪化している」(現地日系人)が、一部店舗は日本と同様、24時間営業にして商機を逃さない構えだ。警備を強化するなどし、これまでに大きな被害はないという。

● GYUDONは世界へ

 世界進出の背景には、日本国内での出店余地の限界や人口の頭打ちがある。業界1位のすき家、2位の吉野家、3位の松屋を合わせると国内牛丼店は約4000店舗。人通りの多い駅前など、好条件の立地の多くは既に牛丼店だらけだ。

 そんな中、すき家は今年度過去最多の126店舗を、吉野家は103店舗を中国、インドネシアなどに出す。共に前期比約2倍で、日本の“国民食”牛丼の出店競争は海外に軸足を移しつつある。

 (「週刊ダイヤモンド」編集部 土本匡孝)

週刊ダイヤモンド編集部

最終更新:9月20日(火)6時0分

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