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ドル円は年度末95円から来年度90円に進む

東洋経済オンライン 9月20日(火)5時0分配信

 9月20~21日にかけて、日本では日本銀行の金融政策決定会合を、米国ではFOMC(連邦公開市場委員会)をそれぞれ控えている。しかし、ここでどのようなアクションが取られても、ドル円相場がドル安円高基調を脱するのは難しいと見ている。

 為替市場ではすでにこうした日米の金融政策の格差というものがあまり効かなくなっているためだ。日本の予想実質金利(=名目金利-予想物価上昇率)の高止まりが続くと見込まれる中、日米間の経常収支やインフレ率の格差が重石となり、ドル安円高傾向が続く可能性が高いだろう。

■日銀はマイナス金利の深掘りへ

 日本では、異次元金融緩和によって予想物価上昇率を高め、予想実質金利を押し下げるというのが日銀の黒田東彦総裁の狙いだが、そのとおりになっていない。市場は原油価格の下落や中国経済の減速などによって、金融緩和によるデフレ脱却が難しいとの見方に転じたためだ。

 そのため、今年1月末には、マイナス金利政策を決定し、名目金利を引き下げることによって、予想実質金利を引き下げようとしたが、これもうまくいっていない。かえって副作用が意識されてしまい、予想物価上昇率が低下し、かえって予想実質金利の上昇と円高を招いたからだ。

 こうした経緯も踏まえ、日銀は9月20~21日の金融政策決定会合で、これまでの金融政策の効果について総括的に検証した結果を公表する、としている。

 ここで、日銀が2%という物価目標を下げることはないだろう。多くの先進国の中央銀行が、2%の物価目標を掲げる中、目標を下げれば、購買力平価の観点で言えばその目標の差の分だけ、円高を許容することになるためだ。また、結果的に達成時期が後ズレしようとも、目標達成へのファイティングポーズを示し続けること自体、粘着性の強い日本のデフレマインド払拭に役立つと日銀はみているはずだ。

「総括的検証」と次の一手

 こうした中、黒田総裁は、9月5日の「きさらぎ会」における講演にて、各主体の調達コストを引き下げたと説明し、マイナス金利政策の効果を強調した。一方、「短期調達・長期運用」を基本構造としている銀行にとって、イールドカーブのフラット化(短期金利と長期金利の差が小さくなること)が収益の悪化と金融仲介機能の低下につながる可能性に留意しなくてはならないとして、その副作用にも言及した。

 従来の「銀行のために金融政策をやっているのではない」といった強い口調ではなくなった点が印象的だ。加えて、長期金利の低下による年金や生保の運用難が、貯蓄性の高い保険商品の販売停止や、企業による年金債務の拡大をもたらすなど、マインド悪化が経済活動に悪影響を与える可能性にも言及している。

 これらを踏まえれば、日銀が今後、マイナス金利をさらに深掘り(マイナスの金利幅を拡大)する場合に、長期国債の買い入れの柔軟化(減額)によって、イールドカーブのスティープ化(短期金利と長期金利の差が大きくなること)を図る可能性が高い。もちろん、緩和姿勢の後退と映ることを避けるため、長期国債の買い入れを減額する一方、短期から中期の国債買い入れを増やし、全体としての国債買い入れ額は概ね維持するだろう。

 しかし、イールドカーブの形状をコントロールすることは容易ではないと考えられる。なぜなら、長期金利の決定要因は、需給のほか、海外債券市場の動向、期待潜在成長率、期待インフレ率、そして財政のリスクプレミアムが複雑に絡み合うためだ。加えて、今まで以上のスピードで償還を迎える国債が増えるため、国債買い入れ額を維持することも、難しさを増すだろう。

■サプライズに頼ったことが黒田日銀の誤算

 本来であれば、米FRBの金融政策の正常化(利上げ)VS日銀の異次元緩和の継続や拡大(マイナス金利政策の付加)によって、円安が進んでいてもおかしくはなかったはずだ。しかし、そうならずに円高が進んだ最大の理由は、黒田総裁がサプライズに頼り過ぎたためだろう。もちろん、これは予想物価上昇率の押し上げを狙ってのことであろう。

 しかし、非伝統的な金融緩和は、企業や家計、市場の日銀の政策に対する共鳴を得て初めて、当局の意図したような期待形成に働きかけることができると考えられる。その点、説明もほとんど行なわれないまま、マイナス金利政策が導入されたとあっては、日銀の政策によって、「これで景気がよくなる」、「これで物価が高まる」という意識が各経済主体や市場に浸透するとは考えにくい。マイナス金利政策のメリットより、副作用に対する不安感がかえって高まったと考えられる。

 特に、長らくインフレ率2%程度が当たり前だった米国と、物価が上がらないことに慣れてしまった日本とでは、金融緩和の効き方も異なると考えられる。むしろ事前の十分な市場への説明や対話が求められよう。

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最終更新:9月20日(火)18時10分

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