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史上最年少のプロ棋士・藤井聡太 学校の授業は5分で理解

デイリー新潮 9/20(火) 10:30配信

 いやはや、恐ろしい中学生が出て来たものである。史上最年少でプロ棋士になる藤井聡太三段(10月に四段昇格)は、凡百の我等とどこが違うのか。10年に1人と言われる天才棋士の「双葉」の頃からのエピソード。

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「相手が大人だろうが負けるとすぐ泣くんです。あんまり泣くもんだから“のべつまくなしに泣いてどうするんだ!”と叱ったことがある。よっぽど負けず嫌いなんでしょう」

 そう振り返るのは、藤井君が通っていた名古屋市にある将棋教室の中山則男氏(指導棋士六段)である。

 9月3日、奨励会の最終関門「三段リーグ」でトップの成績を収め、プロ棋士昇格を決めた藤井君は14歳2カ月の中学2年生だ。この記録、62年前に加藤一二三元名人が作った14歳7カ月を破り、目下、将棋界に君臨する羽生善治三冠がプロになった歳より1年も早い。

 その藤井君は、住宅総合メーカーに勤務する父親と専業主婦の母親、それに4歳年上の兄という家庭に育っている。将棋を始めたのは5歳からだが、隣家に住む祖母が一緒に遊ぶために勧めた公文式の「スタディ将棋」がスタートだった。

「この将棋セットは、どこに動かせるのか分かるように駒に矢印がついているんです。でも、私じゃ勝てなくて、対局相手はお爺ちゃんになりました。それも、あっと言う間に相手にならなくなった」(祖母の清水育子さん)

 当時、幼稚園の年中組にいた藤井君は、すぐに地元の将棋教室に通いはじめる。先の中山氏によると、

「藤井君は小学校1年から2年までうちに通っていたのですが、1年のときに『詰将棋解答選手権』で凄い成績を残したんです。プロ棋士でも全問解けない人がいるほどの難問ですが、90分の制限時間を半分以上残して解いてしまった。全問正解で、こんな天才がいるのかと驚きました」

■ドブに落ちたことも

 小学校4年で奨励会に合格。すでに地元の将棋ファンの間では有名な存在だった。藤井君を指導した師匠の杉本昌隆七段が言う。

「将棋の世界では、師匠から“弟子にしてあげる”と誘うことはまずありません。でも、彼のことは1年の時から知っていて、ずっと弟子にしてみたかった」

 杉本氏によると、その指し方は“光速の寄せ”と呼ばれる谷川浩司九段に似て、斬ったと思ったらもう相手が倒れているイメージだ。だが、何よりここまで強くなったのは、プロ七段の師匠に負けても本気で悔しがるほどの負けず嫌いと、周りのことが見えなくなるほどの“集中力”にある。

「小学生の頃、聡太が歩いていてドブに落ちたことがあるんです。理由を聞いたら“将棋のことを考えていたから”と言う。そんなことが2、3回ありました」(先述の育子さん)

 分厚い本も面白いと思ったらすぐに読み終えてしまう。司馬遼太郎の『竜馬がゆく』(全8巻)は、小学校6年生で全巻読破した。

「“どうして5分で分かることを45分もかけて教えるんだろう。授業がつまらない”と言って驚かされたこともありました」

 そう話す母親の裕子さんだが、現在、藤井君は地元の中高一貫校に通っており、将棋盤を離れると普通の中学生の素顔も見せる。

「ラーメンが大好きで苦手なのは虫。バッタも掴めません」(同)

 年齢からいえば「栴檀」の木に育って香りを放つのはこれから。後生畏るべし、である。

「ワイド特集 きょうびの寓話」より

「週刊新潮」2016年9月15日号 掲載

新潮社

最終更新:9/20(火) 10:30

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