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ブラック化する非正規・公務員の実態――2年半で67回雇い主変更、自治体の「社保外し」の手法

週刊SPA! 9/20(火) 9:10配信

 世にブラック企業が蔓延するなか、「安定・安心」と思われていた公務員の職場もブラック化が進行しているという。現場で働く人々を直撃、その非人間的な労働環境の実態をリポートした!

⇒【グラフ】急増する「職種別・非正規公務員」の割合

◆2年半で67回雇い主変更!自治体の「社保外し」の手法

 非正規の事務職員として働いていた長崎県のAさん(40代女性)の働かされ方は劣悪だった。’06年8月~’12年2月までの約6年半の間、同じ職場で同じ仕事をしていたのに、社会保険に加入していなかったのだ。その理由は、長崎県(新幹線・総合交通対策課)と県の外郭団体の2つが、2か月たつと雇い止めにして、すぐにもう一つが新たに任用して、また2か月たつと雇い止めにするということを繰り返していたためだ。2年半の間に、67回雇用主が変えられていた。

 地方自治総合研究所の上林陽治研究員は「長崎県は『臨時職員取扱要綱』のなかで、臨時職員は労働期間が2か月にまたがる場合でも勤務日数は25日以内と定めています。正職員の4分の3以上の勤務時間を働けば、雇用主は労働者を社会保険に加入させなければなりません。でも2か月で25日以内なら4分の3未満となり、その義務から免れます」と解説する。

 Aさんは「社会保険逃れが目的だ」として、’14年5月、6年半にかかる年金相当額と退職手当に相当する約420万円の損害賠償などを求めた訴訟を長崎地裁に起こした。今年3月29日、判決ではこの訴えは認められなかった。ただし「県は地方公務員法の臨時職員制度の趣旨に反する取り扱いをし、労務管理をする県職員は部分的に職業安定法や労働者派遣法に反する取り扱いをした」として、精神的苦痛を受けた女性の訴えを一部認め慰謝料40万円の支払いを命じた。だが県や外郭団体の行為は臨時職員取扱要綱に従った「適法」行為だ。

◆「社保外し」は適法。国は口出しをできない

 臨時職員取扱要綱は全国一律ではなく各自治体が定めるが、そもそも「社会保険外し」を狙ったと思われる長崎県の要綱に国は口出しできないのか? 上林さんは「できない」と説明する。

「そこに違法性がある場合だけ国は口を出せます。自治体は、よく言えば独自に、悪く言えば勝手に要綱を作っているんです」

 長崎県の事例は氷山の一角だ。NPO法人「官製ワーキングプア研究会」は昨年、「’15年非正規公務員ワークルール調査」を実施。その結果、臨時職員を社会保険に加入させていないのは、千葉県、船橋市、都の千代田区、中央区、墨田区、江東区、目黒区、世田谷区の8自治体だった。

 有給休暇についても、東京都、熊本県、熊本市、大阪府門真市、都の中央区、台東区、目黒区の7自治体が付与していないことが明らかになった。有給休暇は、勤務が6か月を超えると取得できる。つまり、これら7自治体は6か月未満での任用を繰り返していると推測できる。これを変えるには、非正規職員が組合に入ることで自治体と団体交渉をするしかない。

◆急増する「非正規公務員」

 正規職員と同じ仕事をしているのに、待遇だけが低い「非正規公務員」。こうした立場で働く人が急増している。全日本自治団体労働組合(自治労)の調査によると、全国の地方公務員のうち非正規公務員は’08年時点で、警察や消防、教員などを除くと、全体の27.6%を占める約60万人(推計)。4年後の’12年には33.1%を占め、約70万人へと急増している。なかには、全職員の60%以上が非正規職員で占められる自治体もあり(最高は’12年長野県小布施町の67.2%)、「ブラック自治体」は今、日本の隅々にまで広がっている。

― ブラック化する[非正規公務員] ―

日刊SPA!

最終更新:9/20(火) 9:10

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