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太陽ホールディングス株式会社 | 理系のシゴトバ

就職ジャーナル 9月21日(水)10時0分配信

理系のシゴトバ
太陽ホールディングス株式会社

【今回の訪問先】太陽ホールディングス 研究部 研究一課
PCやスマートフォン、タブレットなどのIT機器、薄型テレビ、ブルーレイディスクレコーダーなどのデジタル家電、カーナビゲーションシステムなどの車載機器など私たちの周りにはさまざまな電子機器があふれています。それらの電子機器には必ずプリント配線板(電子部品を配線するための基板)が用いられています。プリント配線板は薄い樹脂の板の表面に銅箔(どうはく)で回路を描き、その回路を熱や湿気から保護するため、ソルダーレジストと呼ばれる特殊なインキを塗って覆い作成されます。このソルダーレジストという分野で世界をけん引しているのが太陽ホールディングスです。太陽ホールディングスは1953年に印刷インキの製造販売を展開する太陽インキ製造株式会社として設立されました。そして76年に、ソルダーレジストを主力製品とするエレクトロニクス業界向け化学系電子材料を開発・製造する会社へと大きく事業転換しました。ソルダーレジストの開発・製造で培ってきた技術力を生かし、現在ではその分野にとどまらない革新的な製品の開発・提供、さらには太陽光発電による電気の供給や販売、植物工場の運営などを展開するなど、常に成長をし続けています。今回は太陽ホールディングスの成長の源泉である研究部のシゴトバを訪れました。
 

■ 電子材料の研究開発の仕事とは?

太陽ホールディングス 研究部 研究一課のシゴトバは埼玉県の嵐山(らんざん)事業所内の嵐山ラボラトリーです。事業所のある埼玉県嵐山町は、県のほぼ中央に位置する自然豊かな町。国蝶オオムラサキが生息する地としても知られています。嵐山事業所の周辺もゴルフ場や、関東近郊でも人気トップクラスのバーベキュー場があるなど、緑にあふれており、非常にのどかな雰囲気です。
嵐山事業所では研究員のほかに、開発・製造・営業が一体となって新規事業の立ち上げに専念するプロジェクトに所属する社員も働いています。また、太陽グリーンエナジーという太陽光などの自然エネルギーによる発電事業や植物工場の運営をしているグループ会社もあり、同社が運営している植物工場で栽培されたベビーリーフは嵐山事業所の社員食堂のサラダに使われるほか、近隣のスーパーなどにも出荷されているそうです。

 

研究部には約30人の研究員が所属しています。研究部 研究一課のシゴトバを同課に所属する秋元真歩さんが紹介してくれました。
「研究部は5年先、10年先の太陽ホールディングスの事業の柱を生み出すべく、新事業の研究開発、いわゆる種まきをする部門です。私が所属している研究一課では、当社グループの現在の柱であるソルダーレジスト以外の、新たな用途向けの電子材料の開発を行っています。ソルダーレジストは世界でもトップクラスの市場シェアを獲得していますが、次の時代、世代で世界をけん引していく電子材料の開発を任されています」(秋元さん)
研究員の平均年齢は非常に若く29.59歳。
「これは管理職まで含んだ平均年齢です。研究の最前線では多くの若手が活躍しています」(管理本部 人事総務部 人事管理課 福本貴之さん)
太陽ホールディングスが積極的に新しいことにチャレンジできるのは、ソルダーレジスト事業の利益率が約20パーセントと非常に高いことがその背景にあります。
「ここで得た利益を新しい技術開発分野に投資することで、また新たに世界をけん引するような製品を生み出していく。そうすることで当社は常に成長し続けられるのです」(福本さん)
写真は研究部のオフィスです。
「このオフィスは2014年にリニューアルされました。働き心地の良い環境なので、仕事も楽しく集中できます」(秋元さん)
緑は同社のコーポレートカラー。それが映える空間になっています。

 

「私は今、ある次世代の電子材料の研究開発に従事しています。この電子材料が実用化されることによって、最終製品(電子機器)をより小型化するとともに、機器としての能力向上に貢献することができるようになります。現在、私を含めて6人のチームで進めており、上司を除くとメンバーはみんな後輩。私はリーダー的な存在として、後輩の指導をしつつ研究を進めています」(秋元さん)
写真は実験室で、電子材料の試作を行っているところ。光に反応する材料を使っているため、特殊なLED照明が使用されています。
「研究はまず市場の動向やニーズ、特許を調査するところから始まります。次に開発サンプルの基となる材料を調達し、開発。そして試作品ができれば評価を行います。一度の開発で狙った通りのものができることはありません。評価結果を参考に、また材料調達、開発、評価を繰り返して、新しい技術を確立していきます。本来ならここまでが研究職の役割。ただ、私のチームがユニークなのは、研究員が試作品を実際にデバイスメーカーに売り込みに行くところまで担当しているところです。研究部には売り込みまで担当している先輩がいなかったため、ノウハウは研究のトップに直接、教えてもらいました。初めての売り込み先は韓国のデバイスメーカー。韓国出身の営業担当者が同行してくれました。厳しいことは言われましたが、次につなげることができました。お客さまへの訪問は、開発の目標も明確になり、研究員としても成長できる機会となっています」(秋元さん)

 

試作品ができたら、評価を行います。写真は熱機械分析装置(TMA)でサンプルをセットしているところです。
「この機械では温度をかけながらサンプルを引っ張ることで、その材料の熱機械特性を評価することができます。試作品が目的通りの性能を有しているかを確認し、満たされていなければ、どうすればその性能を満たすことができるのか、見直します。これを繰り返すことで、5~10年後の社会にも会社にも貢献できる電子材料の完成へとつなげていきます」(秋元さん)

 

試作した電子材料を基板に塗布し、その表面に描かれたパターンが正確に表現できているか、電子顕微鏡で確認します。
「パターンはマイクロメートルクラス(1マイクロメートル=0.001ミリメートル)なので、目視では見ることができません。そこで、電子顕微鏡を使って拡大することで確認しています」(秋元さん)

 

また同じく試作品の表面の形状(パターンの凹凸)が正しくできているかを評価する装置として、触針式段差計も使います。針が表面をなぞっていくことで、表面の形状を高精度に測定することができるというもの。写真は秋元さんが電子材料を塗布したサンプルを測定機にセットしているところです。

 

オフィスのデスクでは、メールチェックなどの事務作業のほか、評価した結果をまとめたり、より良い結果が得られる方策を検討したり、デバイスメーカーに売り込みに行く際の資料を作成したりします。

 

メンバーと、オフィスの奥にある和風会議室で打ち合わせをしているところです。部屋は畳敷きで机は掘りごたつ形式になっており、窓には障子がはめ込まれています。
「この部屋は靴を脱いで上がるので、通常の会議室よりも少しリラックスした雰囲気で話し合うことができます」(秋元さん)

 

オフィスの中央にはリフレッシュコーナーがあります。ここには卓球台のほか、著名な画家の画集が置かれた書棚(写真奥)、エスプレッソマシン、さらには本格的なボクシングバッグ(パンチ力を鍛えるアイテム)などがあります。
「書棚にあるのは、私たちが日ごろ取り組んでいる分野とはまったく違う芸術関係の書籍ばかり。研究本部担当の取締役には一流に触れることが大事という考えがあり、例えば1階エントランスにある盆栽もさいたま市の盆栽町から本格的なものを届けていただいているのですよ」(福本さん)

 

作業服も16年にリニューアルされました。秋元さんは作業服リニューアルプロジェクトのメンバーの一人でもあります。実は秋元さんたち同期入社の女性社員が、「作業服をもっとおしゃれに格好良くすれば、もっと楽しく働けるようになるのでは」というアイデアを出し、それを社長に話したことがきっかけで、リニューアルプロジェクトが発足したのです。
「新人だったため、当初はどうプロジェクトを動かしてよいかわからず、試行錯誤しながらも、ようやく今年の春、お披露目となりました」(秋元さん)
以前の作業服は緑一色で、国内の拠点ごとに色やデザインが異なっていたそうですが、リニューアル以後はすべての拠点でこの作業服を着用しています。
「スタイリッシュなデザインが自慢です(笑)。社員の皆さんからも好評です」(秋元さん)

 

■ ハタラクヒト 会社の勢い、盛り上がりを実感できる、温かみのあるシゴトバ

引き続き、秋元さんに太陽ホールディングスで働く魅力、やりがい、職場の雰囲気などについてうかがいました。

 

秋元さんは東京農工大学大学院 生物システム応用科学府修了後、2014年に太陽ホールディングスに入社しました。
「大学院でも有機材料合成に携わっていたため、材料メーカーを中心に就職活動をしていました。その中で当社に決めたのは、世界をけん引する技術力に加え、成長を感じとれるような雰囲気の良さを感じたからです。内定者懇親会で社長からも、『会社を盛り上げていくので、ぜひ入社してほしい』と熱く語りかけていただきました。そういうみんなで会社を盛り上げていこうという前向きの雰囲気にひかれました」

 

入社してから現在の部署に配属され、5~10年先を見据えた電子材料の開発に携わっている秋元さん。
「今の仕事の面白さは、自分の開発した技術について、デバイスメーカーの率直な感想を聞けることです。視点の異なるデバイスメーカーの方の意見を聞くと、『そういう見方もあったのか』と、新たな気づきを得ることがあるからです。また、直接お客さまの要求をうかがうことも楽しいですね。本当は売り込みに行くなど、やり方もわからないので消極的でした。初めて売り込みに行った韓国出張は、入社していちばん苦労した思い出です。というのも新しい技術なので、同行してくれた営業担当者にわかるように説明するのもひと苦労。資料は英語で書かなければなりません。これまで製品化前の技術を研究員が売り込みに行くということもなかったので、参考にする資料もありませんでした。事前に想定質問と回答も用意していたのですが、その想定を超えるような質問もあり、その場で回答できないという悔しさも味わいました。しかし行かなければわからなかったこともたくさんありましたし、お客さまと話をし、次につながったことで、製品の種まきをしている実感も得られました。会社に貢献できている、というやりがいを感じましたね」

 

学生時代も材料開発に携わっていた秋元さんですが、「学生時代に学んでいたことで、役に立っていると感じるのは、研究の進め方です」と語ります。
「材料の開発に携わっていたといっても、やっていたことは違うのでそのまま生かせるわけではありません。そして研究員として大事なのは、研究の目的を忘れないこと。製品に直結している開発ではないだけに、使ってもらうという感覚が乏しくなってしまうことがあるからです。自分がやっていることは何のためか、常に見失わないように意識して仕事に取り組んでいます」

 

最後に太陽ホールディングスという会社の風土・文化についてうかがいました。
「入社した時は、物静かで職人気質の人が多いのかなという印象でしたが、経営陣同様、明るく盛り上がっていこうという雰囲気ですごく勢いを感じます。温かくて優しい人が多く、また私たちのちょっとしたひと言から作業服がリニューアルされたように、風通しも良いシゴトバです。パイオニアになりたい人、ガンガン仕事をしたい人に向いていると思います」

 

■ 充実の社員食堂、保育所併設で子育てもしっかりサポート

14年にリニューアルされた社員食堂「嵐山食堂」です。食材はほとんどが近隣の嵐山町や小川町を中心とした埼玉県産となっています。またテーブルやイスにも埼玉県の西川材という木材が使われています。
「嵐山食堂の料理長は、プロのシェフにお願いしています。社長の『一流の味を社員食堂でも再現したい』という想いから実現した本格的な味の料理が食べられる、自慢の食堂です」(福本さん)

 

嵐山食堂のメニューは日替わりで3品。肉、魚、麺から1品を選び、それに食べ放題のサラダバー、温かい4種類のおばんざい、ライス、味噌汁がつきます。値段は400円。取材当日のメインメニューの肉はチキンステーキ(写真手前)、魚はカツオのたたき(左)。ちなみに写真はありませんが、麺は嵐山食堂焼きそばでした。

 

社員が子育てをしながらでも活躍できるよう、敷地内には保育所もあります。ここ、たいよう保育所は15年12月1日に開設されました。
「社員が働く職場から園庭が見えるので、安心して働けると社員からも好評です。なんと利用第1号は男性社員でした」(福本さん)

 

太陽ホールディングスでは14年より、1年間で1人2万円を部署での交流行事に使用することができる「レクリエーション制度」を設けています。
「文化的な活動から知識や教養を高め、それを仕事に生かしてほしいという思いで作られました。最近では落語家を呼んだイベント、ミュージカルや歌舞伎の鑑賞、男性社員による芸者体験(写真)など、さまざまな企画がこの制度で催されています」(福本さん)

 

■ 太陽ホールディングスにまつわる3つの数字

ソルダーレジストの分野で世界をけん引し、そこで培った技術を基に新たな電子材料の開発に取り組んでいる太陽ホールディングス。以下の数字は何を表しているのでしょうか? 正解は、次回の記事で!

1. 100パーセント

2. 5マイクロメートル

3. 22パーセント

前回(Vol.156 三甲株式会社)の解答はこちら

 

取材・文/中村仁美  撮影/臼田尚史

最終更新:9月21日(水)10時0分

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