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“ツレうつ”から10年 「元気づけようと踊ったことも…」と作者振り返る〈週刊朝日〉

dot. 9月23日(金)11時30分配信

 2006年に出版された『ツレがうつになりまして。』。うつ病と闘う夫を支える日々を描いた作品は大きな反響を呼び、2011年には映画化もされた。その作者である細川貂々(てんてん)さん(47)が、自身の経験を踏まえてうつ病を語る。

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『ツレがうつになりまして。』を出版してから、かれこれ10年ほど経ちます。

 家族としてどう接すればいいか。母親からは「“がんばれ”って言わないこと」と言われましたが、うーん、難しいですね。人によっても違うでしょうし、病状が波のように下がったり上がったりするので、状況によっても変わります。いくら家族が気を使っても、外出先ではそうはいかない。落ち込んで帰ってきて、布団に入って泣きだしたツレの前で、元気づけようと踊ったこともありますが、ツレに言わせるとうっとうしいだけだったみたい(笑)。

 桜の季節のころ、気晴らしに桜を見に連れ出したときも、「満開の桜を見ると、自分がなんてつまらない存在なんだろうって、憂うつになる」と言われてしまいました。逆効果でした。

 ツレもそうでしたが、うつの人って「このままじゃいけない」という気持ちが強い。だから何かのきっかけでこの状態から抜け出したいって思っています。だから「桜を見に行こう」と声をかければ、「いいよ」って。本人も大丈夫だろうって思っているんです。

 それで実際に外出をすると、自分はまだ追いついていないことに気付いてしまい、それでまた落ち込む。でも、家族としてはそれでいい。連れ出して悪かったって考えるのではなく、まだ早かったんだって体調の目安にすればいいんです。

 1、2カ月間はほとんど起きられず、横になっていました。そのときのツレは、顔は茶色、グッタリしていて、白髪も目立つようになって……、見ているのがつらかったです。そういうときは、近所の人や友人に愚痴を聞いてもらっていました。一人だけだったら対処できなかった。周りの助けがあったからこそ、今があるんだと思います。

 うつと診断されて1年ぐらい経ったころから体調が良くなってきました。と同時に、彼は変わりました。以前は頭がガチガチで、「こうあるべき」という思いが強かったのが、無理をしなくなり、体にも気を配るようになりました。発症前のツレが今の姿を見たら、「軟弱な生き方をして!」と憤るかもしれません。そう本人も言っています。でも、今のほうが私にも居心地がいい。

 私自身も変わりましたね。今までは余計なことを口走る性格だったんですが、一呼吸置いてから話をするようになった。二人のケンカも減って。当時はたいへんだったけれど、うつの経験は大きかったと思います。

 ご家族に一つ言えるのは、患者さんも大事だけれど、自分も大事ということ。自分を持っていないと患者さんに振り回されてしまうだけです。ストレスを適度に発散しつつ、楽しいことをやりつつ、その上で患者さんを見守っていく。そんなスタンスでいいのではないでしょうか。

※週刊朝日 2016年9月30日号

最終更新:9月23日(金)17時31分

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