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「セックス特集」をブス目線で読むとこうなる

cakes 9月21日(水)18時0分配信

今回は、このコラムが始まる元となった「ブス図鑑」ブログからの再録第2弾です。
「ブスでも恋愛もすれば、セックスぐらいするわいな」
というわけで、普段はなかなか聞けない疑問について、ブス目線で迫ります。

●良くてヒット、大半がフォアボールで押し出しみたいな試合を日々続けていると思う

「セックス特集」。

某女性誌が、センセーショナルな見出しで定期的にそういう特集を組んでいる。
その、あまりの直球自信満々ぶりに、「セックスって特集していいんだ!」と納得させる説得力があった。

ちなみに、セックス特集号は、他の号より格段に売り上げが上がるらしい。ということは、年中セックス特集やってればいいんじゃないかと思われるだろうが、中身は結構、年中セックス特集である。

この女性誌だけではなく、他の女性誌でも、セックスに関してのページは必ずある。と言っても、エロページというわけではなく、実に真面目に女のセックスライフ充実を図る記事であり、〝行為の最中までそんなに冷静になられては困る〟というクールぶりだ。

上記の「セックス特集」女性誌の内容は、割とエロい上に、付録に「豊川悦司の官能小説朗読CD」という一線も二線も画した状態である。それは良いが、女が全員それでヌいていると思われると困る。

では、女性誌に書かれているセックス記事とは、一体どのようなものなのか。
資料となる雑誌は、女性が男性に対して思っているセックスの疑問を1~10位まで設定し、それに対して200人の男性たちがアンケート形式で答えるという、実に理性的な内容である。

しかし、気になるのは200人の男たちが「有職者男性」に限られているという点だ。さすが、アラサー女性が読む雑誌。無職の男の意見など、最初から聞いていないのである。「てめえのセックス自慢は定職に就いてから聞いてやる」という、しょっぱなから襟を正したくなるような先制パンチだ。

では、まず女性のセックスの疑問・第1位。

「前戯が短い。すぐ挿れたがる。イッたらすぐ寝る。なんでそんなに自分勝手なセックスなの!」

キレている。

「とてもクールな記事」と書いたが、しょっぱなからブチ切れである。
しかも、これが1位ということは、世の中の女性はセックスに対し、進んで明かりを点けに行く気にもならない不平不満を抱えているということになるし、これだけ言い尽くしているのに、まだ2~10位まであるという、もはや底すら見えない怒りの深さを感じさせる。

ここまでくると、〝セックスが音楽性の違い発祥の地〟と言われても信じてしまうし、以下10位まで女の愚痴を聞くよりは、すぐにでも「しない方が平和!」という結論を出してしまった方が良いような気がする。

確かに、皆が皆、「君は最高だ! 素晴らしい」と、男が国友やすゆき状態になったり、女が快感のあまり、「ちくしょおおおおお!! ひとでなしいぃ!」などと絶叫するようなセックスをしているとは思えない。
良くてヒット、大半がフォアボールで押し出しみたいな試合を日々続けていると思う。

●「一緒にイこう!」という、ある意味ハリー・ポッターよりファンタジーな現象

では、疑問・第1位「なんでお前は、そんなカスみたいなセックスをするのか」という問いに対する男のアンサーは、「意見を言ってくれないから、どうしたら良いのかわからないし、かと言ってはっきり言われるのも怖いから聞けない」とのことである。

つまり、「はっきり言えよ、てめぇ!!」且つ「はっきり言うんじゃねぇよ、てめえぇ!」なのである。解決策が見当たらない。

しかし女は、はっきり言ったら男が傷つくことを重々承知している場合が多い。行為の後に、「うーん、30点!」などと言える女は少ないし、男もそんなことを25点の顔の女に言われたら、勃たなくなってしまう。つまり、双方の遠慮や気遣いが、ますますプレイのクオリティを下げ、最終的にお通夜状態、終了後に「お悔やみ申し上げます」と言わざるを得なくなってしまうのが現状のようだ。

そんな、どうしようもない状態に対し、女性誌側からの気休めアドバイスは「直接言うと角が立つので、やんわり遠回しに言いましょう」とのことだった。
要するに、「そこじゃねぇよ!」などときつく言わず、「右3歩、上2歩」というような、スイカ割りみたいな指示がベターとのことである。

女性のセックスの疑問・第2位。

「変な体位や道具を試そうとする…。男の理想のセックスってなんなの…?」

こちらも不満にじみ出まくり! 疑問といいつつも、男の言い訳を一切許さない文体が、ソークール。男が「どうしたらいいのか、わかんない」と言っているように、女も「何がしたいのかがわからない」らしい。じゃあ、「言ったらヤラせてくれるのかよ」というと、それはまた別問題である。

それに対して男は、「理想は、二人同時にイケるようなセックス!」という、童貞を超えて処女みたいなアンサーを出してきている。あの純愛18禁作品でよく見られる、「一緒にイこう!」という、ある意味、ハリー・ポッターよりファンタジーな現象である。

それを聞いた女の大半が、「ただでさえイカないのに、一緒にて!」と、桂三枝ずっこけをしてしまうだろうが、男がセックスにそんなユートピアの実現を求めているという点は、評価すべきかもしれない。

しかし、その反面「セーラー服を着せたい」「自分がドSになって、彼女を蹂躙したい」だの、別の場所にアルカディアを築こうとする者の意見もあるので、セックスに何を求めるかは人それぞれ、というか、大半は意味とか考えずにやっているだろうと思うのである。

●クリスマス・イヴのセックス中に、山下達郎の顔をあえて思い出しているというわけではない

女性のセックスの疑問・第3位。

「こっちは疲れているのに…。セックスを断ると不機嫌になるのはなぜ?」

もはや疑問という形を借りて、不満を発表しようとしているとしか思えない。いちいちセリフ口調なのも、その場面を想像できて、グッドである。

女に「疲れてるの」と言われれば、「そうだね、おやすみ」と、引き下がる男も多いと思うが、なんと、90%以上の男が、「セックスを断られて、イラッときた経験がある」と答えているのだ。
つまり、口では「わかった、ごめんね」と言っていても、内心では「顔面に紙袋かぶせてでも、ヤリてぇ!」と思っているのである。

そこで引き下がらずに、強引に押し切る男もいるだろうが、女にとってノリ気じゃないセックスほど苦痛なものはないし、そんな南極2号のような顔で白けている女とでもしたい、と言うあたり、「できればイイ」と思っている男と、「雰囲気が大事」と思っている女には、埋めきれない溝があることがうかがえる。

昔から、女は行為そのものより、ムードやシチュエーションに興奮するといわれている。ということは、してる最中、全然別のことを考えている率は女の方が高い、ということになる。

別に、クリスマス・イヴのセックス中に、山下達郎の顔をあえて思い出しているというわけではなく、上記のような、白けきりセックスを何とか盛り上げようと、セックスしながら頭の中で、全然別のセックスを想像しているのだ。

相手を別のイケメンと想像する、などという生易しいものなどではなく、自らを奮い立たせるために、全くの他人が吐き気を催すほどの、助平に及んでいるところを想像したり、時には年齢・性別・人種・生物不問! という、頼もしい門戸の開き方で、凡打確実な打席を足の速さで一塁まで持っていっているのである。

つまり、ジュディ・オングの歌は、別に特別なことを歌っているわけではなく、どんな女の袖にもあのビラビラがついているのである。

ここまでが3位である。全部紹介しようと思ったが、背景にある、女の怨嗟が激しすぎて、とても収まりきらないので、続きはまたにしようと思う。

セックスはするのも疲れるだろうが、話題にするのも疲れるのである。

カレー沢薫

最終更新:9月21日(水)18時0分

cakes

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