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1つのグラフで2つのメッセージを伝える方法 デキる人に見える、グラフのちょっとイケてる使い方vol.1<人を動かす!数学的コミュニケーション術>

幻冬舎plus 9月21日(水)6時0分配信

深沢 真太郎(ビジネス数学の専門家/教育コンサルタント)

「1グラフに1メッセージ」が基本だが…

 「グラフにはメッセージを込めなさい」

 私がこの連載で一貫してお伝えしているエッセンスです。そしてできれば、1つのグラフに1つのメッセージだけ込めることが理想です。伝えるためのグラフは、何が言いたいのかが一瞬でわかることが極めて重要だからです。
しかし、そうは言っても実際はこういう局面もあるかもしれません。

 「伝えたいメッセージがどうしても2つある。できればそれを1つのグラフの中で表現してしまいたい」

 そこで、今回はどうすれば一瞬で2つのメッセージが伝わるようなグラフになるかを考えてみましょう。

メッセージが2つあるなら、グラフも2つ作るべき
 たとえばこのようなデータで考えてみましょう。
次のデータは全国展開している小売業者の年間売上高だとしましょう(全部で8店舗)。

 <某小売業者の店舗別売上高>

 このデータを使って、あなたは次の2つのメッセージを伝えたいとします。

 (1)売上が大きいのは関東と関西の店舗であり、その依存度も高い
(2)依存度が低い札幌店と広島店はクローズしても影響は小さい

 まず(1)のうち「売上が大きいのは関東と関西の店舗」だけがメッセージならば、次のような棒グラフで十分でしょう。

 <某小売業者の店舗別売上高>

 
しかしこのグラフではその依存度までは表現することができません。もしそれを表現したければ、通常はもうひとつ別の円グラフを作成するのがセオリーでしょう。

 
<店舗別 売上高シェア>

1つのグラフ内で、2種類の数字を同時に扱いたい。

 しかし、次のような手順でエクセルを操作すると、この2つのグラフを1つのグラフにまとめることができます。

 <この手順通りに操作してください>

 売上の高い順に累計の売上高を算出し、それに対して全体のシェアを算出(※)

「売上高」と「シェア(累計)」の2種類のデータを、まずはそのまま棒グラフ(あるいは折れ線グラフ)にする

売上高は棒グラフに、シェア(累計)は折れ線グラフに変更する

折れ線グラフ上で右クリックし、「データ系列の書式設定」を選択

軸を「第2軸」に選択(右側の縦軸にシェアの数字が表記される)

必要なアレンジをする(グラフの色替え、データの表記など)

 
<(※)準備したデータ>

 
<(※)をグラフ化したもの>

 
このグラフはパレート図と呼ばれています。データを活用して資料をまとめ、プレゼンするような仕事をする方(たとえばコンサルタント業など)が好んで使うグラフです。
このグラフを使えば、次の2つのメッセージが端的に伝わることでしょう。

 ・関東と関西(東京・神奈川・大阪・京都)の売上が高い。その依存度は高く、全体におけるシェアがおよそ74%。
・依存度が低い札幌店と広島店は仮にクローズしても影響は小さく、全体の10%未満である。(その2店舗以外のシェアが90%を超えている)

TPOにあわせて、グラフを使い分けよう。
 ご紹介したパレート図。パッと見たときの印象がカッコイイ(? )ので、ついどんなときでも使ってみたくなりそうですが、それはちょっと待ってください。

 たとえばパワーポイントなどスライドを使ってプレゼンテーションする際は、スライドの枚数などに制限はありませんから、このように1グラフにまとめる必要はありません。1スライドを贅沢に使えばよいでしょう。
しかし、紙の資料など限られたスペースの中で複数のメッセージを伝えたい場合にはこのようなグラフをうまく活用したいものです。
たとえば何でも紙1枚で説明することを好む上司などに説明する際は、間違いなくコッチですね。

 伝えたいメッセージによって使うグラフを変えるのは常識ですが、TPOにあわせて使うグラフを変えることもできるようになったら、あなたはもう上級者の仲間入りです。


 『1分かかる説明が5秒でおわる“伝わる数字”のつくり方  
 人を動かす! 数学的コミュニケーション術1』

 深沢真太郎 (著)

深沢真太郎の公式ホームページ http://business-mathematics.com

 フェイスブック https://www.facebook.com/sugaku.fukasawa/



■深沢 真太郎(ビジネス数学の専門家/教育コンサルタント)
ビジネスパーソンの思考力や数字力を鍛える「ビジネス数学」を提唱し人財育成に従事。この分野では第一人者として圧倒的な実績と指導力を持つ教育コンサルタント。これまで延べ5000名以上の指導経験を持ち、「中学生に伝えるつもりで」を信念とする面倒見のよいキャラクターと丁寧な指導技術は多くの研修担当者に「この人でなければできない研修」「なぜこんなにわかりやすいのか不思議」と評される。様々な大手企業の人財育成をサポートしており、大学やビジネススクールで担当した講義は100%リピート依頼がくる超人気講師でもある。
主な著書に『99%の人が知らない数字に強くなる裏ワザ30』(ダイヤモンド社)、ベストセラーとなった『数学女子智香が教える 仕事で数字を使うって、こういうことです。』(日本実業出版社)など多数。日本数学検定協会「ビジネス数学検定」1級AAAは国内最上位。
BMコンサルティング株式会社代表取締役/理学修士(数学)/多摩大学非常勤講師

最終更新:9月21日(水)6時0分

幻冬舎plus