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日本の保健医療支出、3年連続で先進国中2位の高さ…厚労省の「低水準」との前提崩壊

Business Journal 9月21日(水)6時3分配信

 OECD(経済協力開発機構)は7月、新基準(A System of Health Accounts 2011)に基づき、加盟国の保健医療支出(対GDP)など保健医療関係の最新データを公表したが、最近その内容が話題となっている。OECDの「保健医療支出」は、「国民医療費」に、介護保険にかかる費用のほか、健康診査や市販薬の売上等の費用を加えた概念。

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 その理由は、以下の図表の通り、2015年の日本の保健医療支出(対GDP)は11.2%だが、それはOECD加盟35カ国中3位(アメリカ、スイスに次ぐ)であったからである。

※詳細図表は【詳細図表はこちら】リンクを参照

 旧基準(A System of Health Accounts 1.0)で日本は、近年10位前後で推移し、たとえば14年の日本は10.1%でOECD加盟35カ国中10位(アメリカ、オランダ、スイス、スウェーデン、ドイツ、フランス、デンマーク、ベルギー、カナダに次ぐ)であったが、新基準では、「高福祉国家」の象徴であるオランダ・スウェーデン・デンマーク等よりも上位に順位が急上昇した。

 厚生労働省は、財務省との予算折衝などにおいて医療予算の増額要求を行うとき、高齢化の進展にもかかわらず、日本の医療費が先進国のなかで低水準かつ効率的である根拠として、保健医療支出(対GDP)の国際比較を利用してきたが、新基準では、その根拠が低下する可能性を示している。

 なお、マスコミ等の報道をみる限り、15年の順位のみに関心が集まっているが、2011年から13年の間、新基準ではOECD加盟35カ国中2位(アメリカに次ぐ)であったことを指摘するものが皆無なのは不思議である。

 歴史的にアメリカの医療は原則的に自由診療であり特殊なので、アメリカを除けば2011年から13年の間、日本はOECD加盟国34カ国中1位であったことを意味する。

 日本の保健医療システムは、1961年に達成した「ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ」という理念の下、最近まで比較的少ない負担で質の高い保健医療サービスを提供してきたことは事実だが、高齢化で医療費が伸びるのは避けがたく、団塊の世代がすべて75歳以上になる25年に向けて、抜本的な改革が不可欠であることを示唆する。
 
●日本の順位が急上昇の要因

 ところで、今回の基準変更は、長期医療サービスの定義や境界が曖昧で不透明であったことに対応するもので、新基準では、長期医療サービスに「医療の有資格者が提供するサービス」のほか、「ADL(Activities of Daily Living:日常生活動作)に関するサービス」等が加わった。

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最終更新:9月21日(水)6時3分

Business Journal