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屋根にソーラーパネルを積んだ『プリウスPHV』は夢のあるクルマだ!

@DIME 9/21(水) 7:30配信

トヨタの新型『プリウスPHV』の屋根にはソーラーパネルが貼り付けられている。これが意味するところは大きい。まだ正式発表前で価格も発表されていないのだけれども、先日、袖ヶ浦フォレスト・レースウェイで行なわれたメディア向け試乗会で運転することができた。

『プリウス』にコンセントからも充電できるPHV(プラグイン・ハイブリッド)版は先代から存在していたが、今度のPHVはまず走りっぷりが普通の『プリウス』と随分と違う。レースウェイの1コーナーを過ぎてからの上りでの加速の鋭さと滑らかさが全然違う。静粛性にも優れているし、別のクルマのようだ。プレミアム感がある。

 そのPHVには新機軸がいくつか込められているが、僕はその中で最も重要なのが屋根に貼り付けられたソーラーパネルだと思う。先代にもソーラーパネルはオプションとして設定されていたが、駆動用バッテリーに充電できるわけではなかった。車内換気用のファンを回すだけのものだった。

「あれは、ギミックのようなものでした」と、苦笑いするのは、このソーラーパネルの開発責任者である平野高弘さんだ。電子制御システム開発部 統合電子システム開発室主任という長い肩書きを持っている。

「今度のは違いますから」(平野さん)

 平野さんは分解展示されたソーラーパネルとソーラーバッテリー、ソーラーECUを前にして自信たっぷりに断言した。それによると、今度の『プリウスPHV』のソーラー充電システムでは、最大6.1km/日、平均2.9km/日走ることができるエネルギーを太陽から充電することができる。

“な~んだ、たったの6.1kmぽっちか”

 僕も最初はそう訝しんだ。

「少しですが、走らずにそのまま充電し続ければ、2.9日掛ける2日分、3日分、4日分と貯まっていくのです」(平野さん)

 毎日続けて乗らなければ、その分、電気を貯めておくことができる! 個人的には、自分のクルマに1週間や10日間乗らないことは珍しくないから、リクツとしては“自宅から走り出す時は、つねに満充電”という状態を繰り返すことが可能になったのだ。計算上は、日照条件が揃えば10日間で満充電となる。

「今年の5月のゴールデンウィークは天気が良かったので、開発中のこのクルマを7日間屋外に駐車しておいたら、充電ゼロの状態から満充電まで充電されていました」(平野さん)

 それも化石燃料も原子力も使わず、タダで! これは画期的だ。もちろん、このソーラー充電システムは安くはないオプション価格が付けられるはずだ。だから、それでモトを取ることはとても難しいだろう。きっと取れないかもしれない。でも、それだっていいじゃないか。太陽光で自分のクルマを走らせることができるなんて、ちょっと前までだったらSF映画の中だけのできごとだったではないか。

 ガソリンや軽油を給油したり、コンセントから充電するのではない。誰にも平等に降り注いでいるお天道様からの光で発電し、それだけで走ることができる。新型『プリウスPHV』がEV(電気だけで走れる)モードで走ることができるのは60km。それ以上はエンジンが動き出す。太陽光で電気を満たし、60kmの範囲内で戻って来ればガソリンは一滴も使わず、コンセントからの電気も使わない。外部からエネルギーを補給することなく、クルマだけで完結した自給自足が行なえる。つまり、究極のエコカーだ。

「ええ、このクルマだけで“生態系”が完結しますね」(平野さん)

 そんな市販車は今まで存在していなかった。ゼロだった。しかし『プリウスPHV』がその第1号車になろうとしている。0と1との違いは決定的だ。ゼロに何を掛けても永遠にゼロにしかならないが、1を少しづつ改善していけば1は2にも、4にもなる。やがて加速度が付けば16にも、144にもなる。『プリウスPHV』では、現在のシステム上、ソーラーパネルからの充電は100%ではなく90%までと制限されるから54kmしか走れないが、これが長くなるのは開発次第だ。

「我々も次の段階を目指して開発を進めています。次は、最大で10km/日と平均5km/日にするのが現実的な目標です」(平野さん)

そのためには改善の余地が山ほどある。でも、平野さんは冷静だ。

「パネルやバッテリー、ECUなどに改善を少しづつ積み重ねる必要があります。まだ、現状は理想からすれば“ザルで水をすくっている”ような段階なので、発電した電気をコボさずに確実に運んで貯めなければなりません」(平野さん)

 現在の段階でも、昼間の走行中にトンネルに入ったりして光を感知しなくなると数秒間のスリープモードに入って、電力の無駄を省こうと小さな積み重ねを行っている。トヨタがこのクルマを発売することは世界の自動車メーカーに小さくない衝撃を与えることだろう。

「フィスカーというドイツのメーカーが“カルマ”というクルマで、このクルマと同じ太陽光からのエネルギーで走行できるプラグ・イン・ハイブリッドカーを世界で初めて発売すると発表していますが、我々はまだ実車を見ていません」(平野さん)

『プリウスPHV』の発表の時期は“この冬”としかトヨタは明言していない。フィスカーに先を越されるのかもしれないが、世界初という称号は小さな問題でしかない。先は長いのだ。トヨタはその先を目指して開発に邁進してもらいたい。新型『プリウスPHV』にはクルマ自体の完成度の高さとは別に、ソーラーパネル充電による走行という、革新的で将来性の高い新技術が積まれている。なんと夢のあるクルマなのだろうか。

文/金子浩久

@DIME編集部

最終更新:9/21(水) 7:30

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