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「爆買い」失速! ラオックス危機が教えるインバウンドブームの終焉

プレジデント 9月21日(水)6時15分配信

■中国人の「爆買い」が業績を押し上げた

ラオックス銀座本店

 家電量販店のラオックスの1店舗1日平均売上高の推移である。

 11年度 259万円(10店舗)
12年度 356万円(11店舗)
13年度 481万円(10店舗)
14年度 625万円(17店舗)
15年度 693万円(33店舗)
(年度 1日平均売上高 店舗数)

 長年にわたって経営不振が続き、中国企業の傘下に入って経営の立直しに取組んできたラオックスだが、店舗数を増やすとともに、1店舗1日平均売上高も上昇傾向である。

 15年度の店舗数は、前年度比でおよそ倍増。店舗新設に投じた資金は1店舗平均5億円前後である。同時に1店舗平均の従業員とパートは増員になっており、現在のラオックス各店平均の従業員は14人弱、パートは21人強といったところだ。

 そのラオックスついて、『図解!  業界地図2017年版』では、11年度以降の主要指標の推移を紹介。たとえば、11年度の売上高営業利益率は「△12.7%」と10%を超える赤字だったが、15年度は「9.2%」と、家電量販店としては異例の高率だったとしている。

 商品売上高は、仕入高の1.4倍前後での推移と、ここ5期で大きな変化は見られないが、売上高が10倍近く伸びたことで利益率もアップしたようだ。

 もちろん、訪日中国人の「爆買い」が業績好転の最大の要因だが、同じくインバウンド需要の恩恵を受けた百貨店などを含め、“一過性”への依存に対する懸念も指摘。残念ながらその懸念は現実になりそうだ。

■インバウンド需要による売上増は剥げ落ちた!? 

 出版後に発表されたラオックスの中間決算(16年1月~6月)。売上高は、前年同期比で約23%のダウン。営業利益は確保したものの海外事業の縮小などにともなう特別損失が発生、最終赤字に転落した。通年の売上予想1000億円も、650億円への下方修正である。

 在庫と売上高から計算する商品回転率も低迷。15年はほぼ2カ月で店頭の商品が入れ替わっていたが、16年に入ってからは5カ月を要している計算だ。

『図解!  業界地図2017年版』(ビジネスリサーチ・ジャパン著/プレジデント社刊)

 ラオックスは百貨店の「大丸」などに出店しているが、三越伊勢丹ホールディングス、J.フロントリテイリング、高島屋、エイチ・ツー・オーリテイリングの大手百貨店4社も、16年度に入って売上高が軒並みダウン。とくに免税品売上高の減少が顕著である。インバウンド需要による売上増は、剥げ落ちたということだろう。

 インバウンド需要への依存が低かったホームセンターの大手4社、DCMホールディングス、コメリ、コーナン商事、ナフコが、売上高を伸ばしているのとは対照的である。

 ちなみに、家電量販店のビックカメラは、大型店による運営のため1店舗1日平均の売上高は、ラオックスの5倍規模で3000万円を軽く上回る。

 百貨店は伊勢丹新宿本店、阪急本店、西武池袋本店、三越日本橋本店、高島屋日本橋店がベスト5。それらを含めて百貨店20店舗の1日平均売上高を『図解!  業界地図2017年版』で紹介している。興味のある方は、ご一読を! 

ジャーナリスト 鎌田正文=文

最終更新:9月21日(水)6時15分

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