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ごちゃごちゃの状態になっている日本の自動運転開発

JBpress 9/21(水) 6:15配信

 日本の「自動運転」開発がごちゃごちゃの状態になっている。政界、官庁や業界の思惑が入り乱れ、また、さまざまな団体、協議会が並び立ち、ほとんど収集がつかなくなっているのだ。

今年7月、千葉県幕張のイオンモールで行われた、DeNAによる完全自動運転の実証試験(写真)

 まず、日本の自動運転開発の旗振り役の1つが経済産業省である。経済産業省には経済産業大臣の諮問機関「産業構造審議会」が設置され、テーマの1つとして自動運転技術の実現までのロードマップや課題が話し合われている。

 2016年9月13日、産業構造審議会の第9回新産業構造部会が開催され、自動運転を含む「新産業構造ビジョンの今後」について討議された。この討議では、完全自動運転の実用化について「当初見込みの2025年から前倒しするべきだ」との声が上がった。

 この日は、「戦略分野『移動する』」について、DeNAの南場智子・取締役会長と、楽天の安藤公二・常務執行役員によるプレゼンも行われた。DeNAは自動運転技術の開発に取り組んでおり、南場会長は「人の移動(自動走行等)」をテーマにプレゼン。楽天の安藤常務は「物の移動(ドローン等)」について、楽天の取り組みを紹介した。

 自動運転をめぐる議論は、内閣府が取りまとめる「SIP」(戦略的イノベーション戦略プログラム)でも行われている。多くのメディアは、このSIPを“産学官連携によるオールジャパン体制”と捉えている。

 ところが、自動車メーカーや自動車部品メーカー、さらに行政機関で自動運転の関係者らと意見交換すると、「SIPは絵に描いた餅だ」という声を多く聞く。そもそもSIPにおける自動運転の実証試験は、2020年の東京五輪での「世界に対する、自動運転のショーケース」という意味合いが強く、自動車産業界としては「行政とのお付き合い」という感覚があるようだ。

 産学官関連連携の推進組織としては、経済産業省と国土交通省が立ち上げた「自動運転ビジネス検討会」もある。2015年2月に発足し、実用化を見据えた本格的な産学官関連連携を始めている。

 この他、自動車業界の学会である自動車技術会と、自動車基準認証国際化研究センターも「自動運転基準化研究所」を新設し、自動運転に関する国際基準や標準化に関する戦略を検討している。

 このように、今、日本の自動運転開発は各種会合が乱立し、いったい誰がイニシアティブを取っているのか分からない状況である。

 なぜ、このような混沌とした状況に陥ってしまったのか?  そこには、2つの大きな問題がある。

■ 自動車メーカーとIT企業のスタンスの違い

 1つ目の問題は、「自動運転」に対するスタンスが2つに大きく分かれていることだ。

 自動車メーカーの多くは、今でも「自動運転はあくまでもドライバーの運転を支援する技術」との立場を取っている。運転者を支援する技術なので、運転者は「手動」か「自動」かを選択できる。また一気にゴールを目指すのではなく「段階的な技術革新によって自動化を目指す」としている。

 一方、米アルファベット(グーグルの親会社)やDeNAが提唱しているのが「完全自動運転」だ。つまり、運転者がいない自動車を走らせるということだ。初期の実証試験では運行管理者が運転席付近に座ることがあるが、自動車メーカーよりも最終ゴールへの短期到達を念頭に置いている。

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最終更新:9/21(水) 6:15

JBpress

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