ここから本文です

ソニーと巨人軍。二つの名門を蝕んだ「コンプラ」という名のバケモノ 『巨人軍「闇」の深層』に見た正体

現代ビジネス 9月21日(水)16時1分配信

 長年にわたりソニーを取材し、その凋落の理由を解き明かしてきたジャーナリストの立石泰則氏。その立石氏が、「近年多くの問題を起こして世間を騒がせている巨人軍とソニーには、共通点がある」と指摘する。その理由とは? 

ソニーと巨人軍の共通点

 企業取材を始めて40年近くになる。その間、倒産などあり得ないと思われた銀行など金融機関や売上高1兆円を超え、優良企業と謳われた大企業が、ちょっとした躓きからあえなく市場からの撤退を余儀なくされ、姿を消していく様を何度も見てきた。

 現在は、家電王国を誇ったわが国の家電産業が瀕死の状態にある。シャープ、ソニー、パナソニックといった大手家電三社は軒並み経営危機に陥り、シャープは台湾の鴻海精密工業に「身売り」、ソニーは本業のAV(音響・映像機器)事業からゲーム&コンテンツとネットワークの企業への転身を図り、パナソニックはコンシューマ・ビジネスからB2Bへと大きく舵を切っている。

 そうした方向転換が奏功するかは、いまのところ不明である。ただそうした経営危機に陥った企業に共通するのは、時代や社会の変化に柔軟に対応できずに、すべてが後手後手に回ったことである。それは経営者(陣)の無能さが第一の原因ではあるが、同時に見過ごせないのは時の経過とともに組織が柔軟性を失い、官僚化していったことである。

 組織の官僚化は、企業に限らずすべての団体、集団の成長過程で起きるものであり、それを未然に防ぐことでしか健全な発展は担保できない、と私は考えてきた。

 ただ企業以外の組織を研究・勉強したことがなかったので、他の組織にも通じるものかどうかは確信が持てないでいた。

 そんな私に「確信」を与えてくれたのが、西崎伸彦著『巨人軍の「闇」の深層』(文春新書、8月発売)である。

 本書は、近年、野球賭博や元巨人軍のスター選手だった清原和博氏の覚醒剤事件、さらには巨人監督だった原辰徳氏の「一億円恐喝事件」など、名門球団を襲った一連の不祥事の背景にある本質的な問題を、選手個人にだけでなく、球団経営のあり方、企業経営でいう「マネジメント」そのもののいびつさに求め、詳細な実証を試みている。

 その点が本書の最大の特徴であり、これまでの巨人軍を批判する類似書とは一線を画する作品に仕上がっている。

1/3ページ

最終更新:9月21日(水)16時1分

現代ビジネス

記事提供社からのご案内(外部サイト)

「現代ビジネスプレミアム」

講談社『現代ビジネス』

月額1000円(税抜)

現代ビジネスプレミアムは「現代ビジネス」の有料会員サービスです。2万本以上の有料記事が読み放題!会員だけの特別記事も配信。豪華ゲストによるセミナーも開催中。