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「ノンママ」という人生を選んだ女性たちの苦悩 職場で深まる「ワーママ」との溝

現代ビジネス 9月21日(水)9時1分配信

子を産まないのはそんなに「ひどい人生」なのか?

 「人々が、『子を産めない女、産んだことのない胎、乳を飲ませたことのない乳房は幸いだ』と言う日が来る」

 この言葉を新約聖書の『ルカによる福音書』で見つけたときには一瞬ドキリとして、「イエス・キリストは子のない女性を積極的に評価してくれているのか」と思ったが、どうもそうではないようだ。

 これは「どんなにひどい人生を送った人でも、信仰さえ持っていれば最終的に救われる」という意味で、「子を産んだことのない女」は「最悪のひどい人生を送った人」のたとえとして用いられているのだ。

 そうか、そんなに私は「ひどい人生」なのか、とまたまたがっかりした。そう、1960年生まれ、今年56歳の私には子どもがいない。「なぜ? と言われるとよくわからない。はっと気づいたらこうなっていた、としか言いようがない。

 そして、後述するようにこれが子どものいない女性でいちばん多いパターンのようで、国の統計調査などでは「意図せざる生涯無子女性」と分類されるらしい。

 精神科医として診察室にいると、40代、50代の“仲間”に多く会う。女性の場合、いつをもってして「無子女性」と決定されるかは人それぞれだし、生殖医療の進歩により妊娠可能年齢は上がりつつはあるが、現実的には40歳を超えれば「有子の可能性」はぐっと減ると言ってよいだろう。

 では、そういう女性はどれくらいの割合で存在するのか。

 これを正確に特定する調査はないようなのだが、「出生動向調査」を用いて分析したところによると、1960~1965年生まれ世代では「20%ほど」なのだそうだ。

 そして、この「無子女性」の割合は1960年生まれから急増し(私はまさにその“第一期生”だ)、1960年代後半生まれはさらに高くなると推測されるというから、もしかすると今年、45歳、46歳を迎える1970年、’71年生まれあたりでは25%あるいはそれ以上という可能性もある。

 いまどきの女性の4人に1人は子どもがいない。いや、その割合はもっと高いかもしれない。これはかなり衝撃的な数字ではないだろうか。

 こうなると「無子女性」はひとつの社会問題といえるが、問題なのはその呼び方だ。「無子女性」はあまりにひどい。ネットでは「子ナシ」から「子梨女性」などと呼ばれているようだが、それも意味がわからない。

 何かよい呼び名はないか、といろいろ考えて、「ノンママ」という単語を思いついた。そして、とくに既婚だったり身体的には妊娠可能だったりするのに「子どもがいない」という状態の女性を取り上げ、『ノンママという生き方』(幻冬舎)という本にまとめてみた。また、このテーマを展開させて女性たちの物語とした『ノンママ白書』というドラマも放映されている(フジテレビ系)。

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最終更新:9月21日(水)23時6分

現代ビジネス

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