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鬼怒川水害の教訓。水が引いても目に見えない災害は続く!? 

ダイヤモンド・オンライン 9月21日(水)6時0分配信

 長岡技術科学大学大学院の木村悟隆准教授(生物機能工学専攻)は、2015年9月の「関東・東北豪雨」での鬼怒川決壊(常総水害)以降、何度も被災地である茨城県常総市に足を運び、住宅の被害を調査してきた。そこで目にしたものは、外からでは分からない様々な状況だった。水害の後にも続く目に見えない被害について報告してもらった。(「リスク対策.com」に2016年1月掲載)

 水害は目に見えない。

 「そんなバカな!  常総水害ではあれだけ広大な地域が浸水したではないか」と思う人がほとんどだろう。

 水が引いた直後は臭いや砂ボコリがあったものの、今、常総市を訪れても一見正常にみえる。地震と違い、傾いた家も見当たらない。破堤や越流の直撃を受けた極狭いエリアを除けば、新築間もないハウスメーカーの家は何もなかったかのようにたたずんでいる。しかしまだ、災害は続いている。今なお、被災した方は多くの悩み、ストレスを抱えている。

● 消石灰は何のために撒く? 

 避難先から帰って最初に行うのが、被災した家財の廃棄、そして室内の泥の掃除だ。

 大変な作業であるが、ここまで終わると、そのまま住み続けられると多くの方は思ったことだろう。

 消毒はしなければならないと知っていた人は多い。行政も消毒剤を配布した。その一つが消石灰である。水害後、屋外や床下に撒くと、白くなって如何にも消毒した気分になり安心する。お清めの塩のようだが、本当に効果があるのだろうか?  長らく水害ボランティアをしている方でも疑問に思っている方は多い。

 実は、茨城県薬剤師会の消毒マニュアル「水害と消毒」では、消毒薬としてはエビデンスが不明として推奨されていない! 

 固体の粉末は微生物と接触しないため、とそのマニュアルには書かれている。茨城県ホームページの「水害時の消毒方法」という一覧表にも消石灰は記載されていない。海外では、米国の感染症対策の専門機関CDCのホームページに、消石灰は下水の汚泥には有効だが、土に対しては実験的証拠がないと述べてある。

 いったい、どこまで効果が期待できるのか?  筆者にはよく分からない。

 消石灰の効果があったとしてもそれは湿った土の上だろう。昔の民家は土間に石場立てであった。しかし、時代を経て布基礎、最近建築されている家はほとんどベタ基礎と基礎の構造が違う。床下は土からコンクリートに変わったのである。しかし、床下=消石灰だと思ってコンクリートの上に撒いた方がいると聞く。

● 消毒は撒けばいいというわけではない

 では、消毒に何を使えばいいのだろうか?  オスバンに代表される逆性石けんは、使用する直前に水で薄めて、主に屋内でよく使われる消毒剤である。床下にも使えるが、有機物があると効果が弱いと「水害時の消毒方法」にはある。それならばと思い、屋外でも使用されるクレゾール液を床下に撒いた方がいるが、しばらくその臭いで大変だったと伺った。

 さて、消毒剤は撒きさえすればよいというものではない。ある時間経つと薬剤の効果は失われる。また、多くの消毒剤は水に溶かして使われる。従って、効果が失われた後に、部材が濡れたままだとカビの原因になる。消毒したら、直ぐに乾燥させるのが望ましい。ベタ基礎の場合、床下に多量に使えば、コンクリート面に流れて溜まることも有り得る。そうなった場合には排水の必要も出て来る。

 消毒の対象が、細菌なのかウイルスなのか、カビかも分かり難い。茨城県も含めて配布されている消毒マニュアルは、細菌による伝染病対策のため作られているようだ。カビ除去には消毒用エタノール(濃度80%程度、希釈せずそのまま用いる)も有効であるが、その記載がないのも頷ける。

 以上のように、消毒用マニュアルは一見完備されているように見えて、いざ現場で消毒しようとすると「何のため」「どのタイプの基礎には何が適しているか? 」が欠落していて困る。また、「なぜ効くのか? 」の記載はない。全ての被災者が効く仕組みを理解するのは難しいが、記載があれば、理解できる者が読み込んで、周りに伝えることができる。また、現場の実態に合わせた消毒剤の使い分けがより容易になるだろう。

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最終更新:9月21日(水)6時0分

ダイヤモンド・オンライン

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