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京都への文化庁移転、高まる反対と受け入れ態勢の難

ダイヤモンド・オンライン 9月21日(水)6時0分配信

 東京一極集中の是正を狙った「地方創生」の一環である中央省庁の地方移転計画。今年3月、文化庁の京都移転が正式に決定した。

 京都にとって文化庁誘致は、「30年来の悲願」(京都市京都創生担当)。これまで、元京都大学名誉教授の河合隼雄氏が文化庁長官を務めていた2002年、分室を京都市に開設するなど、長年の熱心な誘致活動が実を結んだ形だ。

 7月には移転実証実験が行われ、9月1日の「まち・ひと・しごと創生本部」による決定では、来年度から「地域文化創生本部(仮称)」を設置し、文化庁の一部を先行移転させることも明記され、数年以内には全面移転の見通しだ。

 しかし、今月に入り、反対の声が各所から上がり始めた。文化芸術組織で構成される「文化芸術推進フォーラム」や、日本音楽著作権協会(JASRAC)などが、京都移転への反対声明を正式に発表。もともと他の自治体からは「メリットがあるのは京都のみ」という不満が漏れていただけに、反対の輪が広がりを見せた格好だ。

 京都側の関係者は「いちいち相手にしていられない」と息巻くが、来年度からの先行移転には「国民の理解を得る」という目的もあるため、内心穏やかではあるまい。

● 万全の受け入れ態勢必要

 文化庁の業務で、最も大きな予算が充てられているのが、文化財保存。中でも建造物保護の割合が高い。

 最新の「国宝・重要文化財都道府県別指定件数」の指定建造物の数を見ると、京都は639棟で、隣接する奈良は384棟。実にこの2府県に全体の5分の1強が集中し、京都への文化庁移転は、客観的にも根拠があるといえる。

 当の文化庁内部には「地方には行きたくない」という声も一部から上がる半面、現在は文部科学省管轄下にあるため「京都移転を文化行政強化の契機とし、同時に霞が関での地位向上をもくろむ節もうかがえる」(総務省関係者)。

 文化庁の機能強化については、今回の移転計画要項にも記載されている。元文化庁長官の近藤誠一氏は「人や予算を投入する従来の手法ではなく、現状の資源で優れた施策を生み出すという方向に転換すべき。伝統が息づく京都に文化庁職員が実際に住むことが、優れた施策の立案に寄与し、ひいては日本全体の文化事業の振興につながる」と移転の意義を説明。

 同時に「今後、各自治体から首長や文化担当者が京都に押し寄せる。観光シーズンには慢性的な不足に陥る宿泊施設のさらなる充実など、京都側は全国に『万全の態勢で皆さんをお迎えします』という姿勢をアピールすることが必要」と注文を付ける。

 正式決定はしたものの、簡単に事は運ばなさそうな文化庁移転。京都の関係者たちが枕を高くして眠れる日は、まだまだ遠そうだ。

 (「週刊ダイヤモンド」委嘱記者 野村聖子)

週刊ダイヤモンド編集部

最終更新:9月21日(水)6時0分

ダイヤモンド・オンライン

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