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日本の鉄道「英語アナウンス」は回りくどい? 

東洋経済オンライン 9月21日(水)11時55分配信

 国際社会となった昨今、日本国内でもあらゆる場所で英語による案内が一般化しつつあり、もちろん鉄道を中心とした公共交通機関も、表示や放送に英語の案内が用いられるようになった。あと4年後に迫った東京オリンピックへ向けて、さらなる整備が急務であろう。

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 ところで、昔からよく言われているのが、日本語の案内放送はいささか過剰気味ではないか、という話だ。日本に住む外国人同士の座談会などでも、必ずと言ってよいほど、この話題が出るが、実際のところ、外国ではどのような案内がされているのだろうか。ヨーロッパの事情をご紹介しつつ、日本と比較してみた。

■欧州では少なかった案内放送

 元々、英国を含むヨーロッパでは、駅構内や車内で不必要に長々と案内放送をする習慣はなかった。車内では、必要最低限の行き先や次の停車駅の案内程度、駅も行き先と停車駅程度の内容で、駅や列車によっては何の放送もない場合もあったほどだ。

 とはいえ、近年は自動放送が普及したことで、以前と比較すれば、これでも結構いろいろな案内をするようになったと感じる。天候に応じた、「傘のお忘れ物にご注意ください」といった細かい案内まではさすがにないが、終点で忘れ物の注意喚起をするなど、昔ではありえなかった放送が、最近は各地で行なわれるようになってきた。

 これは、各国で施行されたバリアフリー法の影響もあるようだ。ドアチャイムや電光掲示板も含め、最近は相当な老朽車両にも、しばらく使う予定がある車両には、自動放送装置が必ず設置されるようになり、こうした案内は車掌がせずとも、勝手に放送してくれるようになった。

日本人には聞き慣れない「英語」

 Mind the Gap――英国を旅したことがある人であれば、おそらくほとんどの人が耳に、あるいは目にしたことがあるかもしれないフレーズではないだろうか。Mind~というのは、まさにブリティッシュ・イングリッシュの表現で、「気を配る、注意する」という意味になり、Mind the (closing) Door(閉まるドアにご注意ください)のような表現としても使われる。

 日本の英語教育が、アメリカ英語(米語)をベースとして発展してきたことから、日本国内における鉄道用語や案内も同様に、アメリカ英語の表現が多く用いられているため、このMind~という表現は、我々日本人には新鮮に映るかもしれない。おそらく、アメリカであれば、Watch your stepのような表現になるのではないだろうかと思うが、Watch~という表現は、逆に英国ではほとんど一般的ではない。

 停車駅の案内も、英語と米語で異なる。「停車駅」と聞くと、stopという単語がまず思い浮かび、実際日本の列車内ではStopping at~という表現が一般的だが、英国ではCalling at ~を使う。

■英語の案内はシンプルだ

 ところでMind the Gapとは、実に簡潔な表現で、日本であれば、「電車とホームの間が、一部広く空いているところがございます。お降りの際は、足元に十分ご注意ください」といった感じで、丁寧に放送されるのが通例だが、英国ではたった3語、Mind the Gap、せいぜい最後にPlease を付けて4語で済む。

 これには、各言語の事情も大いに関係していると思う。日本語には「です・ます調」や「だ・である調」といった表現方法や、相手の立場に合わせて使い方を変える尊敬語や謙譲語といった用法の違いなどがある。日本語を学ぶ外国人が、難しいと感じる最大のポイントがここであるが、英語は実にシンプルで、基本的に誰に対しても使う言葉は同じだ。日本国内の英語案内が、たまに少々回りくどい、難しいと感じるのは、日本語の案内を忠実に英訳しようとした結果なのではないか、と考えている。

 もっとも最近、特に英国の列車内では、Mind the gap between the train and the platformのように、少し丁寧な案内をするようになってきた。昔の英国を知る人であれば、少し驚くかもしれない。

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最終更新:9月21日(水)11時55分

東洋経済オンライン

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