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卵子凍結に助成を決めた浦安市長の「覚悟」

東洋経済オンライン 9月21日(水)6時0分配信

昨年、浦安市が未受精卵子の卵子凍結を行政として支援する取り組みをスタートした。日本の自治体で初めてとなるこの助成以外にも、市が主催する婚活イベントや産後うつなどを防ぐためのホテルなどを利用した産後ケア事業、発達障害児の超早期療育支援など、現実的な子育て支援を続々と打ち出している。
新しい政策を打ち出す秘訣は「市民の声に耳を傾け、最新の情報を取りに行くこと」だと話すのは、1998年から5期連続、18年にわたり浦安市長を務める松崎秀樹氏。
日本では高齢者重視の政策が多く、子育て支援や教育へ国が振り向ける予算は圧倒的に少ない。自治体は何ができるのか。松崎市長にインタビューした。

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■卵子の老化、2人目不妊…知らなかった自分にショック

 ――浦安市が未受精卵子の凍結保存にも助成すると決めてから1年が経ちました。最初の発表の時から、大きな話題となっています。

 2015年の夏にスタートする際、共同記者会見をしたのですが、新聞やテレビのカメラがたくさん来たことに驚きました。なんでこんなに来るの? そんなに関心があることなのか? と。

 大きいことをしてやろう、初めてのことをしてやろうという気持ちでスタートしたことではないんです。実情を聞いて、やる必要があると思ったから、やることに決めた、それだけですね。

 ただ、取材に来た記者やメディアの中に、卵子提供のための凍結卵子と勘違いして批判する方もいて、インタビューで話している途中、どうにもかみ合わなくて、勘違いに気づいたこともありました。これは、あくまでも自分の将来のために、自分の身体に戻すときのために、未受精卵子を凍結保存するということであって、そこにも助成しますという話です。

菊地盤医師が異動してきたのが始まり

 ――未受精卵子の凍結保存というのは、まだ初期段階で実施件数も多くないのが現状です。どんな経緯で、この政策を進めることになったのでしょうか? 

このプロジェクトの責任者である菊地盤医師(前回インタビュー)が順天堂大学医学部附属浦安病院に異動してきたのが始まりです。菊地医師から、卵子の老化についての最新データや、がん患者さんたちの卵子や卵巣を凍結してきた実績についてプレゼンを受けました。2014年の暮れだったと思います。ちょうどよい予算編成の時期だったこともあって、すぐに予算化しようという話になりました。 ――実際に動き出したのが2015年の夏ですから、かなりのスピードで実現した政策なのですね。

 私自身、少子化対策のことも常に考えてきたつもりだったのですが、菊地医師に説明されたデータなどの中には、誰からも教わっていない、知らないことがたくさんありました。その衝撃は大きかったですね。

 かつて野田聖子議員が体外受精を頑張っていた時期がありましたよね。野田さんとお話した時に、出産適齢期という言葉を初めて知ったんです。

 「松崎さんは市民と話す機会がたくさんあるのだから、そのことを伝えてください。私自身、女性なのに出産適齢期というものがあることを50歳近くになるまで知らなかった。二度と、私のような人を出さないで下さい」

 そう言われて、それから勉強してきたつもりでした。それでも、知らないことがたくさんあったんです。菊地先生と出会ってからは、直接レクチャーを受けて、その内容を自分でパワーポイントにまとめて、いろいろなところで話すようにしています。

 2年前の選挙の時、普段以上に浦安市民と話す機会を持つようにしました。多くて10人くらいの少人数で、お母さん方と話すミニ集会を多く開きました。会も多くありました。子育て支援をするにしても、一体何が大変なのか、どうしたら2人目を産んでもらえるのか、実際のところを知りたかったんです。

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最終更新:9月21日(水)6時0分

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