ここから本文です

都心に続々誕生! 「ものづくり拠点」の正体

東洋経済オンライン 9月21日(水)6時0分配信

 DMM.make AKIBA、TechShop Tokyo、FabCafe。ものづくりスタートアップを応援する新しい拠点がにぎわっています。従来、技術者の特別な世界だと思われがちだったものづくり。しかし、今、3Dプリンタの登場、デジタル化の進展、IoTへの注目の高まりとともに、一般の人にとって、ものづくりがより身近な存在になり、これらの拠点を中心に多くのスタートアップが生まれています。本稿では新しいものづくり支援の動きを概観します。

この記事の写真を見る

■至れり尽くせりのDMM.make AKIBA

 秋葉原駅前にある富士ソフトビルの広いロビーからエレベーターで10階に上がると、そこには異次元のものづくり空間が出現します。DMM.make AKIBAでは、CAD/CAM、精密金属加工、3Dプリンティング、半導体・電子関連の設備をそろえ、Techチームの技術者がものづくり相談に応えています。

 旋盤、ボール盤ような基本的な機械から、岩間工業所の超小型5軸マシニングセンターまで、こだわりの加工機が並び、半導体関連のクリーンルーム、電波シールドルーム、精密測定装置、商品の耐久性を検査する機器もあります。設備のそろい具合は大手メーカーの工場とまったく引けを取らず、ここで設計から出荷まですべての準備ができると、大企業出身の起業家も太鼓判を押しています。

 基盤設計・実装のワークショップや知的財産セミナーなど、実践的なセミナーや、農業×IoTハッカソン、ものづくりの同志が集まる交流会といったイベントもほぼ毎日開催。更に、クラウドファンディング(Kickstarter、Indiegogo、Makuakeなど)による資金調達のサポート、国内ECサイトでの販売促進や、現地拠点を用いての海外販売の支援も実施。作るだけでなく売るところまで、至れり尽くせりの支援を提供しています。

シェアスペースにはカフェを併設

 Baseと呼ばれる12階の広いシェアスペースでは、カフェも併設し、常に若手からベテランまで、スタートアップやものづくり好きの人たちでにぎわっています。また、個別オフィスも整備しており、入居企業には、Cerevo (IoT家電)、Exiii(筋電義手)、FOVE(VRゴーグル)、ABBALab(ものづくりスタートアップ支援・投資)など気鋭の面々が名を連ねます。キョウデンやシャープなどパートナー企業もここでのものづくりを応援しています。

 DMM.com社長でDMM.makeの社長でもある松栄立也さんは次のように語ります。「若い人が集まるよう見せ方や雰囲気を最大限工夫しているのです。若者へのスカラーシップ制度も準備。おじさんスタートアップが大学生の技術者を応援したり、大企業の人がこっそり新プロジェクトをベンチャーと立ち上げたり、面白いことが起こっています。われわれとしては、ここで儲けるつもりはありません。ものづくりの世界観を広げたいと思っています」。

■渋谷道玄坂のカフェで「ものづくり」

 次に紹介するのが、FabCafeです。渋谷の道玄坂を上って少し歩いたところに、そのカフェはあります。個性的な寄せ木のエントランスとガラス越しに木製のカウンターとテーブルが見えます。中に入るとコーヒーの香り。語り合う若者、PCをのぞき込んで考える人、ほぼ満席の状況。バリスタの国内チャンピオンを生みだすほど、カフェにも力を入れているそうです。

 都会的でスタイリッシュな雰囲気のカフェ。しかし、なぜか店内には、レーザーカッター、3Dプリンタ、特殊印刷機が配置されています。FabCafeは「デジタルものづくりカフェ」です。「アイデアを出す。エンパワーする。ものづくりを始める。そんなコミュニティの拠点を作りたかったのです」(カフェを運営するロフトワークの林千晶代表)。

 ロフトワークは「クリエイティブの流通」をミッションに2000年に創業、商品企画やウエブサービス、デザインサービスを提供しています。2012年から、「クリエーターが毎日訪れ、誰でもカジュアルに参加できる」空間として、カフェをオープン。渋谷界隈のものづくりの拠点にしています。

 カフェの2階には、作業スペースとミーティングスペース。バイオ関係の研究室も準備中です。モデリングのワークショップや交流会の開催も盛んです。ミニ四駆のデザイン、製作、レース大会では、自動車メーカーのデザイナーや模型マニアはじめ大人と子どもが一緒になって、ものづくりを楽しんでいます。国内では、飛騨にもオフィスがあり、海外では、台北、バンコク、バルセロナ、トゥールーズに支店を持ちます。

 次に紹介するのが、TechShop Tokyo。このものづくり拠点は、赤坂のアークヒルズのレストランスペースの奥にあります。2006年に米国で創業し世界中で会員制工房を展開するTechShopと富士通が協力して「誰もがアイデアをカタチにできるDIY工房」を設立。赤坂という土地柄からは考えられない1200㎡の広大なフロアーを使って、3Dプリンタ、レーザーカッターを始め木工、金属加工、テキスタイル、電子工作など50種類以上の本格的な設備をそろえています。

1/2ページ

最終更新:9月21日(水)7時40分

東洋経済オンライン

東洋経済オンラインの前後の記事