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インドネシアで脱サラ起業した日本人。エステは大成功も、たこ焼き屋は失敗したワケ

週刊SPA! 9/21(水) 16:20配信

 東南アジア諸国の中で、タイやシンガポールが観光国として知られているならば、意外なビジネスの穴場として知られているのがインドネシアだ。人口約2億5千万人と、アメリカに次いで世界第4位の規模を誇るこの国には、ビジネスチャンスが多く転がっている。そのため、近年では脱サラしてインドネシアで起業する日本人も珍しくないという。

⇒【写真】高級感の漂うエステサロン

◆普通のサラリーマンがインドネシアで成功している

 5年前にジャカルタに移住し、現在は複数のエステ店やフィットネスクラブを経営する室野秀氏も、カネ、コネなしでインドネシアを訪れ、脱サラ起業した一人だ。

 彼はそれまで勤めていた日本の会社を辞め、単身インドネシアに渡り起業。知り合いの紹介で資金調達をし、不慣れな土地の特徴をつかみながら徐々にビジネスを拡大。現在では会社を年商約1億円の規模にまで成長させた。

 在留日本人も約1万5千人いるため、彼らを対象にするだけでもビジネスが成立すると言われているのは「日本人駐在員の妻を狙った“3つの市場”が活況のわけ」でもお伝えしたとおり。この地で成功を収めるポイントはどこにあるのか。室野氏の失敗談も含めて赤裸々に語ってもらった。

◆華僑をねらう

――インドネシアの市場は日本と違うのでしょうか。

「大きく異なります。インドネシアは、人口2億5千万人のうち、約5%(1250万人)を占める華僑が国内経済の80%を動かしています。そのため、彼らを狙ったビジネスは市場規模が大きく、日本人でもチャレンジする価値が大いにあるでしょう」

◆国民所得が上がると美容市場が広がる

 現在、室野氏はジャカルタを中心に複数の脱毛エステ店を経営している。彼が美容産業に目をつけている理由は――。

「華僑を中心とした富裕層は美容への関心が高い。現在、ジャカルタは慢性的な渋滞に悩まされており、都心部は排気ガスが充満しています。さらに、気候の関係もあって体毛の成長が早いんです。そのため富裕層で肌の手入れにコストを払う人が多いんです」

 彼が経営するエステサロンは全身6回で計30万円のプランが用意されている。インドネシアの物価(ビールは約110円)を考慮すれば、やや強気の料金設定の気もするが「富裕層の客は絶えない」と室野氏。

「東京で使われている高価な脱毛機械を導入しているため、現地で簡単に真似できないのもポイントです。ジャカルタでは東京やシンガポールでブームになったものがその後話題になりやすく、定期的に東京で話題になっているものをチェックしています」

 ほかにも、彼はまつ毛エクステ、美白エステサロン、痩身エステも経営している。なぜここまで美容産業に力を入れているのか。

「富裕層にかぎらず市場の広がりが予測されるからです。現在のジャカルタ市民の多くはバス移動がメインで、移動中は窓を開けっ放し。肌が汚れるため化粧をしない女性がほとんどです。しかし、地下鉄が開業する予定の3年後には様子が変わってくるはず。彼女たちの肌が外気に触れる機会が減るので、ジャカルタ市民の美容への関心が高まることが予想されます。ホワイトカラー職が増えれば屋内にいる時間が増えるのもそれを後押しするでしょう。こうした未来を見越していることもあり、美容産業には力を入れています」

◆在留日本人向けビジネスを展開

 さらに室野氏が力を入れるのが在留日本人向けのビジネス。前述したように、在留日本人が1万5千人をこえるインドネシア。財布の紐を握ると言われる駐在員妻をはじめとして、日本人が落とすカネは無視できない。

「駐在中の日本人をターゲットに『ジャカルタ版ライザップ』を始めました。パーソナルトレーニングジムに必要なのはテナント代、トレーナーの人件費とフィットネス器具費のみ。料金は1か月に12万~18万円で日本とほぼ同額。日本人の駐在員を中心に入会者数が増えています。インドネシアでは今後美容分野と同じくフィットネス市場も拡大していくでしょう」

◆インドネシアで失敗しやすいビジネスは…

 このように、インドネシアの急激な先進国化に合せてビジネスを拡大してきた室野氏だが、失敗も少なくなかったという。美容と健康が見込みが大きい市場だとすれば、逆にリスクの高いビジネスは何なのか。彼にこれまで失敗したビジネスを聞いてみた。

■失敗1:たこ焼き屋

「1パック200円で販売していました。秘密のソースを作って現地の従業員に味を盗まれないように工夫したのですが、後にバイトがソースを水と混ぜてお客さんに出していたことが発覚。マネジメントの難しさを痛感しました」

■失敗2:高級かき氷屋

「東京で高級かき氷が流行っていたので、ジャカルタの富裕層にウケると予想。東京でいう伊勢丹のような『プラザインドネシア』というショッピングモールで一杯600円(インドネシアの屋台では30円)という強気の値段で出店するも、思ったほどお客さんが来ませんでした。原因の一つはモール内のクーラーが効きすぎていたことです」

■失敗3:いちご栽培

「私がインドネシアに来たとき、インドネシア人はいちごに砂糖をかけて食べていたんです。不思議に思い、糖度計で測ったところ、糖度は8%でした。日本のいちごは糖度12~13%なので、インドネシアのいちごは甘さが足りない。そこで、鹿児島のいちご農家に協力してもらい、インドネシアでいちごの苗を作ったところ、糖度11%のいちごの生産に成功したんです。

 それでインドネシアの農家と契約して栽培を開始したのですが、なぜか収穫時期になったら生産量が少ない。不思議に思い、依頼していた農家を追求したところ、あまりにも美味すぎて食べちゃってた(笑)。最初は『ねずみに食われた』と嘘をつかれていましたが…」

 このように、ビジネスが軌道に乗るまでは数多くの失敗をしてきた室野氏。彼の経験をもとにインドネシアでビジネスを始める上でのコツをまとめると以下のようになる。

【失敗しやすい】

・裁量権がバイトに多いビジネス

・技術や知識が盗まれるリスクのあるビジネス

【成功しやすい】

・富が集中する華僑or富裕層インドネシア人をターゲットにする

・先進国化に伴う美容意識、ダイエット意識の高まりに合わせたビジネス

・駐在日本人をターゲットにする

・東京orシンガポールで流行ったものをローカライズして真似る

「金もコネもなかった元サラリーマンの私でも成功できたので、ジャカルタで一念発起したい人は思い切って移住してみてほしいですね。海外に住む中国系移民の国別ランキングでは、インドネシアが1位です。こっち(インドネシア)はベンチャーに出資してくれるパートナーを見つけられるエキスポも頻繁に開催されていますから、脱サラ後のチャレンジを応援してくれる人もたくさんいます」

【室野秀】

1986年生まれ。明治学院大学卒業後、人材派遣や広告の営業職を経てインドネシアで起業。インドネシア在住歴5年。●ホームページ http://murono.jp/

<取材・文/日刊SPA!取材班>

日刊SPA!

最終更新:9/21(水) 16:20

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