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青島健太:緒方監督による暗示が“神ってる”快進撃を生んだ

nikkei BPnet 9月21日(水)9時4分配信

 ハード(球場)の充実が、選手を活性化する。

 「あの球場(2009年オープンのマツダ・ズーム、ズーム・スタジアム)がなければ、黒田(博樹)も新井(貴浩)も戻ってこなかっただろう」

●環境は大事だが、もちろんそれだけで優勝できるわけではない

 広島東洋カープ・松田元(はじめ)オーナーの指摘は、プロスポーツのビジネス的側面と選手心理を看破する慧眼だと、前回のコラムで書いた。  
 41歳の黒田も、39歳の新井も、おそらくカープでのプレーが彼らのキャリアを飾る最後のチームになるだろう。

 そう考えたときに、最新鋭の「マツダ・ズーム・ズーム・スタジアム」は、ベテランにとっても新しい意欲を刺激される魅力的な球場に映ったはずだ。優勝の要因は、間違いなく彼らの活躍(プレー)にあったが、そもそも彼らを広島に呼び戻した要素としてアメリカンなモダンなスタジアムの存在があったことも間違いないだろう。その意味で、プロスポーツにとって環境の充実は、健全な運営に欠かせない要素となっているのだ。

 しかし、これだけで25年ぶりの優勝を語っては、現場の監督、コーチ、選手たちにとって失礼な分析になってしまう。そこで今回は、チームのソフト面、緒方孝市監督(48歳)のマネジメントについて触れておこう。

 緒方監督が、監督に就任した2014年の秋、秋季キャンプから戻ってきた直後にテレビのスポーツ番組で対談した。

優勝の可能性を感じさせた緒方監督の一言

 目指す野球や期待の選手などについて話を聞いたが、彼の手を見て驚いた。両手が豆だらけでカチカチに固まっているのだ。聞けば、監督自らノックの雨を降らせてきたとのこと。練習で鍛え上げるカープの伝統を、その手が見事に語っていた。

 「ぼくらも、そうやって鍛えてもらいましたから……」
 そう言って緒方監督は、秋季キャンプの充実を口にした。

 私は、厳しい練習でうまくなるカープの伝統が、緒方監督にもしっかり引き継がれていることを感じた。

 しかし、その一方で時代は流れ、選手たちの気質や価値観も変わってきている。猛練習で鍛え上げられたカープの選手たち。近年では、野村謙二郎や緒方孝市、佐々岡真司や金本知憲、江藤智や前田智徳、そして黒田や新井も広島で育った選手だ。こうした選手たちが生まれた環境と今の時代環境は違う。しかも、球場も超モダンな新球場が本拠地だ。緒方監督への期待と懸念は、伝統を守りつつも新しいカープをどうやって作っていくのか……ということだった。

 そうした観点から、私が新生カープを感じ、優勝への確かな可能性を実感したのは、緒方監督の例の発言だった。

 「神ってる」

 私は、監督のこの言葉に彼のスタイルとチーム内の良好な雰囲気に触れた気がした。

 「神ってる」は、今シーズン売り出し中の4年目のヤングスター・鈴木誠也が交流戦の最終盤(6月のオリックス戦)、3戦連続でミラクルなホームランを連発したときに緒方監督が発した言葉だ。

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最終更新:9月21日(水)9時4分

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