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ライフネット生命出口会長「自己投資は楽しくなきゃ100%ムダ」

R25 9月22日(木)7時0分配信

「日本の借金が膨れ上がっている」「将来年金が破たんするかもしれない」――。私たち若者世代には、お金に関する数々の不安がつきまとう。

将来のお金のことをどのように考えたらよいのか? 『働く君に伝えたい「お金の教養」』(ポプラ社)を上梓したライフネット生命会長の出口治明さんに聞いた。

●不安に踊らされるのは、己の無知が原因

「僕が30代の頃、ちょうどバブル期には『将来のお金の不安』はほとんどないに等しい状態でした。経済が右肩上がりの時代でしたし、 “将来”という漠然としたものへの恐怖はとても薄かったんです」

そんな時代から30年余り、経済状況は一変し、僕たち若者世代は将来に対して大きな不安を抱えているのが現状だ。

「たしかに状況は全然違います。でも、気を付けてほしいのは、多くの“不安”は、高度成長期を経験した“バブルおじさん”たちが当時の状況と比較してあおっている問題だということ。あの時代が特異だったのですから、当時に生まれた風潮を今に当てはめようとするのはどだい無理があります」

必要なのは正確な情報をつかむこと、と出口さんは続ける。

「たとえば、年金が破たんするという報道。厚生労働省のデータによれば、2014年度の年金積立金の資産額は145.9兆円あります。そこに保険料35.1兆円(1)と税金などの国庫負担12.2兆円(2)が加わり、年金給付(3)は54.2兆円。仮に破たんしそうになれば、(1)と(2)を増やすか、(3)の金額を減らせばいいだけ。政府は必ずこの3つの組み合わせで調整を行いますから、年金が破たんすることはまずありえません」

●自分の頭で考え、バブル時代の“遺産”から脱却することが肝心

自分が不安に感じたニュースや情報があれば、必ず一次情報を確認して、その内容が正しいかどうかを判断する。その癖をつけることが、“お金の不安”に脅かされない最大の自衛策だという。

「不安をあおるのは、そうすると儲かる人がいるから。5500年前の人類最古の文明、シュメール文明の粘土板にすら、リテラシーが低いと商人にだまされてどうしようもないものを買わされるという内容が記されています。無知であることの弊害は、古今東西共通の考え方なのです」

年金問題でいえば、世代間格差のへの不満もある。これも、バブル時代の遺産である“定年”の考えに縛られているからこそ起こるのだと、出口さんは解説する。

「世代間格差は高齢者を支える人数がサッカーチームから肩車へと激減したことを言い換えただけの不毛な議論。動物は生きている限り、自分で餌をとって生き続けます。定年制度があれば収入を年金に依存せざるを得ず、ゆえに不安を感じるのです。定年制を廃止し、一生稼ぐ能力さえあれば年金に頼らずに済み、不安に惑わされることもありません」

●新しい可能性は、投資しない限りは生まれない

稼ぐ力を養うには、自分への“投資”が重要だといわれるが、何が仕事につながるのかを考え出すと、なかなか行動に起こせないことも…。しかし、出口さんはそういった考え方は視野が狭いと言い切る。

「未来のことは誰も見通せませんし、今の仕事が将来もあり続ける保証はどこにもありません。たとえば、英語を学んだとしても、AIが自動翻訳する世界では無意味になるかもしれません。でも、英語ができれば、アメリカ人の彼女ができて、それが自分の幸せにつながるかもしれない。まずは何事でも体験してみて、興味がなくなったらやめればいいし、好きなら続けたらいい。『自分は何が好きか分からない』とこぼす人もいますが、何事も体験してみなければ分かりません」

楽しいことにお金を使えば、たとえそれが仕事につながらなかったとしても、好きだから取り組んだという事実だけで充実感を得られるはず。引き出しが増えれば、結果として仕事につながることがあるかもしれないが、それはラッキーだったと思うくらいがちょうど良いそうだ。

「同じ体験を僕と若いみなさんがした場合、若い人の方が圧倒的に多くのことを吸収できて、成長につながります。限られた収入の中でやりくりし、若い時こそぜひ楽しいことにお金を使いましょう。僕が知る限りでは、“仕事のため”に楽しくないことにお金を費やして成功した人は見たことがありません。逆に『好き』『楽しい』の気持ちで始めて、大化けした人はたくさんいます」

南澤悠佳(ノオト)=取材・文
林 和也=撮影

(R25編集部)

※コラムの内容は、フリーマガジンR25およびR25から一部抜粋したものです
※一部のコラムを除き、R25では図・表・写真付きのコラムを掲載しております

最終更新:9月28日(水)19時8分

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