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ビジネスで 相手に何倍も喜ばれるほめ方、ほめても嫌われる人

NIKKEI STYLE 9月22日(木)11時10分配信

「ほめ言葉」はお互いの距離を縮める

 「ほめ言葉」を上手に使えば、潤滑剤となり豊かな人間関係が築けます。そんな「ほめ言葉」の効用は、多くの方が知るところですが、ビジネスの場で活用している人は、まだ少ないのではないでしょうか。

 誰でも、ほめられるのは好きなものです。

 「さすが」「すごい」「上手ですね」などといった、ありきたりの「ほめ言葉」であってもいい気分になることは、あなたも経験しているでしょう。ほめられると、何だかくすぐったくて反応に困ったりもしますが、うれしさに変わりはありませんよね。

 そんなに喜んでもらえる「ほめ言葉」なら、できるだけ効果的に使いたいものです。でも、お世辞と思われるのではないか、魂胆があるのではないかなどと心配して、「ほめ言葉」を使えないという方もいらっしゃるでしょう。

 日ごろ「ほめ言葉」を活用しているという自負がある私でも、この人にはちょっと言えない、もし「ほめ言葉」を送ったら怒られかねないからやめようと考える人もいます。

 S社長もそうした一人でした。

 こわもてな上に、彼には「おれ様的な発言」が目立つこともあって、仕事ぶりは尊敬していても、扱いにくい、鼻持ちならない社長だと、私は敬遠していました。ですから、長い付き合いではあっても、どこか壁があり積極的に話しかけることはありませんでした。

 そんなある日、知人のパーティーでS社長の祝辞を聞く機会がありました。それまで傲慢で周囲の思惑なんて考えることなどなく、我が道を行くタイプだと思っていたのですが、彼の話を聞いて意外な面を発見。それは感動に近いものでした。思わず彼のもとにかけより、「素晴らしかったです、さすがS社長ですね」と声にしました。何の迷いもなくそう言えたのです。

「本当? お世辞だよね。臼井さんがほめるなんてあり得ないでしょう」と最初は疑いのまなざしを向けていたのですが、

「こういう場でも祝辞と称して、自己PRをされる方が多いですよね。でもS社長のお話は相手を立て、ユーモアが随所にちりばめられていて、すごくよかったです」

 具体的にどういうところが素晴らしかったかを説明し始めると、次第に柔和な表情になり、「照れるな~、でもうれしいよ、ありがとう」。

 明らかに声のトーンが高くなって、満面の笑顔。その瞬間、S社長との間にあった壁のようなものがなくなりました。私は見た目の雰囲気で彼を「扱いにくい人」と思い込んでいたのです。会話をするうちに彼の人間性に触れ、その日を契機に親しくお付き合いするようになりました。

 あのとき、「素晴らしかったです、さすがS社長ですね」という「ほめ言葉」を送らなければ、心の壁は残ったままで、付き合いを深めることなどなかったと思います。

 日本人は「ほめる」ことも「ほめられる」ことも、あまり上手でないと言われます。特に面と向かってほめるのは難しく、つい言葉が上滑りしてしまいがち。「お世辞や社交辞令ととられるだけ損」だとか、「芳しくない印象を抱かれるよりは黙っておこう」と、考えるのも分かります。けれど私のように、ほめ言葉がきっかけとなり人間関係が広がるということもあるのです。

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最終更新:9月22日(木)11時10分

NIKKEI STYLE

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