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ブーメランは殺人兵器だった、13世紀の骨に謎の痕跡

ナショナル ジオグラフィック日本版 9/22(木) 7:30配信

先住民間の争い示す証拠、オーストラリア研究

 2014年、オーストラリアのある川岸で、頭蓋骨に長い傷をもつ、昔のアボリジニ男性の骨が見つかった。ヨーロッパ人たちが大陸全体に勢力を広げつつあった騒乱の時代に、剣や短剣で殺されたのだろう。当初、誰もがそう思った。

謎の骨の近くで見つかった壁画。人々がブーメランや盾、棍棒を持っている

 ところが分析によって、この男性は13世紀に死んでいたことがわかった。ヨーロッパからの移民がこの地域にやってくる600年前、まだここに金属製の道具がなかった時代のことだ。

先住民の間で争いがあった

 学術誌「Antiquity」の9月15日号に発表された研究によると、この傷は先住民アボリジニが使っていたブーメランによって付けられた可能性があるという。研究者たちは、男性は意図的に殺害されたとしており、ヨーロッパ人の入植以前にアボリジニ間で争いがあったことを示唆している。

 今回の発見は、当時のオーストラリアにおける民族間の関係について新たな解釈をもたらしてくれる。

 植民地化される前のオーストラリアに限れば、他の人間に殺害されたと思われる骨はこれまでに1体しか見つかっていなかった。その骨は紀元前1600年ごろのもので、槍による傷が複数ある。儀式における罰とみられている。

 今回の研究の共著者の1人で、オーストラリアのグリフィス大学の生物人類学者、マイケル・ウェスタウェイ氏は次のように話している。「大陸全体で争いが起きていたかどうかはわかりませんが、オーストラリアのこの一帯には、部族間で争いがあった証拠が確かに残されています」

長い傷を残せる武器は

 問題の骨を見つけたのは、アボリジニの一人であるウィリアム・ベイツ氏。彼らは、この男性遺骨を「兄」という意味のカークジャと名づけた。カークジャの顔には鋭い刃を持つ武器によってつけられた長い傷があり、肋骨も何本か折れていた。

 詳しい分析の依頼を受けたウェスタウェイ氏は当初、カークジャを殺したのはかつて英国の役人が組織した警察ではないかと考えた。この武装組織は、多くのアボリジニの殺害に関わっていたからだ。

 20代後半から30代前半で死んだカークジャには、さまざまな傷があった証拠が残されている。頭蓋骨には2つの傷跡があり、そのうち1つは鋭い刃を持つ武器によってつけられたものと思われる。一方で、カークジャの最後の食事がザリガニとポッサムだったことや、丁重に埋葬されていたこともわかっている。

 カークジャが生きていたのが金属の利用が伝わる前の時代だったことが判明すると、研究者たちは彼の死因を解明しなければならなくなった。アボリジニは、鋭い棍棒のような「リルリル」と呼ばれる武器や、戦闘用のブーメランを使っていた。20世紀初頭のある記録には、このブーメランについて「サーベルの刃を思わせる」と書かれている。ブーメランは、穴掘り、楽器、動物の解体にも使うことができた。

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最終更新:9/22(木) 7:30

ナショナル ジオグラフィック日本版

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