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Predawnが2ndアルバム『Absence』で見せた新境地 バンドサウンド色強めた作品を紐解く

リアルサウンド 9/22(木) 22:02配信

 Predawnが、9月21日に2ndアルバム『Absence』をリリースした。

 Predawnはシンガーソングライター清水美和子のソロプロジェクト。前作『A Golden Wheel』より約3年半の月日が経ち発売した今作の大きな特徴は、弾き語りの印象が強かったこれまでの作風から一転、バンドサウンド色を強めていることだ。

 『A Golden Wheel』までの作品は、アコースティックギター、エレキギター、ドラム、ウッドベース、キーボード、ブラス……と清水自らが全曲、全パートを演奏し、セルフプロデュースしていた。今作よりライブでもサポートメンバーとして演奏している神谷洵平(ドラム)、ガリバー鈴木(ベース)の2人。さらに、レキシ、ハナレグミのライブサポートを担う武嶋聡(フルート)もレコーディングに参加している。神谷は東川亜希子とのユニット「赤い靴」としても活躍しており、矢野顕子、大橋トリオのライブサポートも務めるプレイヤー。ガリバー鈴木もRyo Hamamoto、Nozomi Nobodyなど幅広いアーティストのサポートを担当している。

 今作は何年も前からライブで披露している楽曲が多く収録されている。「Universal Mind」、「霞草」、「Autumn Moon」などは前作のリリースツアー時にすでに披露していた楽曲だ。それ以前にも神谷、ガリバーがライブにサポートとして参加することはあったが、前作をリリースして以降、その頻度は増えていったように記憶している。今作の収録曲の中でも、一際バンドサウンド的なのはアルバムのリード曲としてMVも制作された「Universal Mind」。清水のリバーブがかったボーカルも目を見張るが、30秒以上たっぷりと用意されたアウトロでは3人のグルーヴが際立つバンドサウンドを聴くことができる。

 「霞草」は、『A Golden Wheel』のボーナストラックとして収録された「虹色の風」に続く数少ない日本語詞の楽曲だ。ウィスパーボイスで歌われる清水の歌詞は、冷淡でニヒルな印象が強い。<あの子は何を見つめてるの>と歌い始めるこの曲は、英詞がほとんどであるアルバム内で鮮明に記憶に残る曲だ。悲嘆を歌った「Don't Break My Heart」では、歌詞の世界観を表すように清水の爪弾くアコギが特徴的なサウンドが響く。アウトロでは、繊細な電子音と共に落ち葉を踏む音が聞こえ、そして次曲「Sigh」へと繋がっていく。「Sigh」はPredawnとしては珍しいピアノがメインの楽曲。清水は昨年、作曲家でありピアニストのRayonsとツアーを行い、「Waxing Moon」を共作した。想像の域を出ないが、新境地とも言えるピアノサウンドはRayonsに刺激を受けた面もあるだろう。

 アルバムタイトルの「Absence」は、「欠如」「不在」を意味する。清水はアルバムの楽曲解説にて、「私や私の知っている人たちは皆、自分の内のどこかに『足りない何か』を抱えながら暮らしているように思う。(中略)心の風景を映し出した曲たちが集まったとき、アルバム名はいつの間にか決まっていた」とコメントしている。もっとも、今作はけっして自己省察に終始する作品ではない。同アルバムのラスト曲「Hope & Peace」では、<Life is full of belief A story too good to be true(人生は思い込みだらけの 信じられないほど素晴らしい物語)>と締め括られ、筆者はほのかな希望を感じ取った。

 前作より約3年半ぶりのリリースということはすでに先述した通りだが、前々作から前作までの期間も2年9カ月と長い月日が経っていた。Predawnは、11月5日の福岡 LIV LABOを皮切りに『Predawn “Absence“ Tour』を開催する。大阪 梅田Shangri-La、愛知 名古屋APOLLO BASE、東京 恵比寿LIQUIDROOMの3公演は、神谷、ガリバーを迎えたバンド編成でのワンマン公演となる。次作のリリースもまた長い制作期間が予想されるが、今回のツアーで早くも3rdアルバムの片鱗が垣間見えるのかもしれない。

渡辺彰浩

最終更新:9/22(木) 22:02

リアルサウンド

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