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【特別公開】エアインタビュー問題、追及レポート第1弾。バルサ広報が否定したインタビュー記事

フットボールチャンネル 9/22(木) 11:00配信

 大きな注目を集めるエアインタビュー問題。この問題に横たわる闇を1人でも多くの人に共有して欲しいという編集部の願いから、『フットボール批評issue10』(2016年3月発売)に掲載されたノンフィクション作家・田崎健太氏による追及第一弾の記事を特別に全文掲載する。

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顔を合わせて会う意味

 ぼくたちの仕事は取材をして原稿を書くという、ごく単純なものだ。ただ、愚直にやるほど割に合わないこともある。

 昨年6月、元日本代表監督のジーコがFIFA会長選挙に立候補した。直後、『フットボール批評』から彼にインタビューをできないかという打診をもらった。〆切りと取材経費の都合で、メール、もしくは電話で話を聞いて欲しいという。

 当初、ぼくは断るつもりだった。

 数年前、『Number』誌から同じように、電話でジーコへ日本代表について聞いて欲しいと頼まれたことがある。ぼくは取材では際どい質問をぶつける。誤解が生じないように、必ず顔を合わせて尋ねるようにしていた。ブラジルまでの取材経費と時間をもらえるのならば引き受けると返事すると、受話器の向こうの編集部員は明らかに困った声になった。彼らはもっと安易な形での取材を考えていたのだろう。

 ただし、今回は少々事情が違う。

 これまでサッカー政治と一線を置いてきたジーコがわざわざ会長選挙に出馬するのだ。ぼくも彼に立候補の真意を質したい気持ちがあった。そこでメールで彼に質問を送ることにした。質問はジーコが答えやすいように、なるべくYESとNOで返せるものにした。律儀なジーコは、すぐに返事を送ってきた。ただし、こう付け加えてあった。〈本来ならばこういった話は会って話をしたほうがいいね〉

 彼の言う通りである――。

 ジーコとぼくは95年以来の付き合いだ。彼が代表監督を務めていたときにも、ぼくは定期的に話を聞いていた。ぼくの顔を見た彼は「もう聞くことはないだろう」とわざとしかめ面を作って、冗談を飛ばしたこともある。

 2006年ワールドカップの直前、こう約束した。「代表監督である間は、色々と気を遣って話せないことがある。ワールドカップが終わったら、あなたがどこで仕事をしていようが会いに行く」

 大会終了後、ジーコはトルコのフェネルバフチェというクラブの監督に就任、ぼくはイスタンブールに向かった。そこでジーコは「ワールドカップの日本代表には腐った蜜柑がいたんだ」と明かした。

 ジーコは日本代表に限らず、自分のチームの選手を貶すことはほとんどない。その彼の発言だったため、大きな話題となった。ただし、ジーコは他の取材で「腐った蜜柑」について話していない。約束を守ってイスタンブールに来たぼくに対する彼なりの報い方だったろう。

 だからこそ、ぼくはメール“取材”後の昨年10月、インドのゴアまでジーコに話を聞きに行った(この取材は『アジアフットボール批評issue02』に掲載されている)。

 ジーコに限らず、被取材者に対して適度な距離を保ちつつ、誠意を持って対応する。ぼくはそれを当然のことと考えていた。

 しかし、そうでない人たちもいるようだ――。

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最終更新:9/22(木) 11:00

フットボールチャンネル

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