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映画『高慢と偏見とゾンビ』:カンフー使いのヒロイン、日本刀をぶん回すヒーロー、そして少しのゾンビ

ローリングストーン日本版 9月22日(木)11時0分配信

映画の舞台となるのは、謎のウイルスが蔓延し、感染した者がゾンビとなって人々を襲っていた18世紀末のイギリス。

【動画あり】映画『高慢と偏見とゾンビ』:カンフー使いのヒロイン、日本刀をぶん回すヒーロー、そして少しのゾンビ

ベネット家の5人姉妹は得意のカンフーでゾンビと戦う毎日を送っている。そんなある日、資産家ビングリー、友人の騎士ダーシー(サム・ライリー)が近所に引っ越してきた。ダーシーの高慢な態度に腹を立てつつも、彼のことが気になる次女のエリザベス(リリー・ジェームズ)と、彼女に惹かれながら身分の違いを乗り越えられないダーシー。だがゾンビとの戦いは待ってはくれず、ふたりは人類存亡をかけた最終戦争に巻き込まれていく。

"古典でホラー"といえば、すわ、メアリ・シェリーの『フランケンシュタイン』かブラム・ストーカーの『吸血鬼ドラキュラ』かと思いきや、今回は古典にホラー要素を"混ぜ込んだ"もの。サマセット・モームが世界の十大小説のひとつに挙げたジェイン・オースティンの『高慢と偏見』、恋愛小説の最高峰と言われるこの名作に、作家セス・グレアム=スミスが"ゾンビ"という人気キャラクターを加えて新たな物語に作り変えたのが『高慢と偏見とゾンビ』だ。小説は世界的に大ヒット、気を良くした出版社は別の作家を使って、オースティンの『分別と多感』をもとにした『Sense and Sensibility and Sea Monsters(分別と多感と海の怪物)』なる本も出版している。

エリザベスのカンフーは、中国の少林寺仕込みの本格派。映画の中でもリリー・ジェームズが大男を相手に大立ち回りを演じる。もとはナタリー・ポートマンが原作小説を気に入ったことからプロジェクトがスタートしたという本作。なるほど、『Vフォー・ヴェンデッタ』の頃のナタリー・ポートマンなら、エリザベス役にぴったりかもしれない。

異様で怖い木の棒について

当時富裕層は日本、しかも京都で武術を学んだという設定で、映画には日本語も登場(なんと言ってるかはがんばって聞き取ってください)。上流階級に属するダーシーがゾンビをぶった切る時に使う剣もよくよく見れば日本刀。ところどころに登場する少々怪しげな日本理解も楽しい。

ダーシーに対抗意識を燃やす青年士官ジョージ・ウィカムは、映画の中でも光るキャラクターだ。『エクリプス/トワイライト・サーガ』にも出演していたジャック・ヒューストンが演じるウィカム。鬼気迫る形相で馬に乗った彼が掲げるのは木の棒で、剪定上手なのか、その枝ぶりも見事。普通なら剣だったりするところ、逆に異様で怖くもある。

もし欲を言うなら、もう少しどろどろぐちゃぐちゃなゾンビが見たかった(登場するゾンビはなんだかみんな上品でかわいらしい)。・・・でも、オースティンの世界観を尊重するなら、これもまた正解なのかも。

『高慢と偏見とゾンビ』
9月30日(金)より、TOTOシネマズ 六本木ヒルズほか全国順次公開
http://gaga.ne.jp/zombies/

Text by Shinjiro Fujita (RSJ)

RollingStone Japan 編集部

最終更新:9月22日(木)11時0分

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