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新憲法承認でも予断を許さないタイの政治状況

JBpress 9/22(木) 6:10配信

 2016年8月7日、軍事政権下にあるタイで新しい憲法案が承認された。

 現政権(2014年5月22日のクーデターでインラック政権を倒し成立した軍部主導のプラユット政権)主導で起草された新憲法草案への是非を問う国民投票が実施され、大方の予想に反し、賛成が反対を大きく上回り、承認されたのだ。

 中央選挙管理委員会が8月10日に発表した公式集計では、賛成が61.35%、反対が38.65%となった。投票率は59.4%で、前回の2007年憲法草案についての国民投票での投票率57.61%を上回る結果となった。

 この投票結果により、今後3カ月以内に憲法裁判所が条文の確認を行い、国王の承認の下、公布される。

 公布後は憲法関連の10法令、選挙関連の4法令が制定され、立法議会の承認の下、2017年半ばに施行される予定である。その後、2017年末または2018年初めには総選挙が実施され、民政移管が実現する予定だ。

 しかしながら、民政移管後5年間は、軍部が政権を担当する可能性が高い。タクシン派の動向も含め、タイ政治の流動化終結の兆候は見られない(注:タクシンは第31代首相、在位は2001~2006年。2014年の軍事クーデターで政権を追われた第36代首相のインラック・チナワットはタクシンの妹)。

■ 首相は軍部の意向に沿った人物に? 

 今回承認された新憲法草案には、いくつかの特徴がある。大きな特徴の1つが首相の選出規定である。

 草案によれば、首相には議員以外の民間人が選出される可能性がある。タクシン派は、軍部の意向に沿った首相が選出される可能性があるとして反対していた。

 具体的には、総選挙に候補者を擁立する政党は、政党届を提出する際に最大3人の首相候補者名簿を中央選挙管理委員会に任意で提出することとなる。ただし、草案では、首相候補者は「総選挙への立候補者」と限定していない。そのため、立候補しない民間人などを首相候補者とすることも可能である。

 総選挙によって下院議員数の5%以上の議員を有した政党は、首相候補者名簿の中から候補を擁立する。そして下院で投票(民政移管後5年間は上下両院)を行い、過半数の票を得た候補者が首相に指名される。

 過半数を得る候補がいない場合には、民政移管後5年間に限り、首相候補者名簿以外の人を首相に選出できるとしている。そのため民政移管後5年間は、軍部がこの制度を基に、意向に沿った人物を首相に選出できる可能性があるとされている。

■ 上院議員、下院議員の選出方法の問題点

 タクシン派は、草案における上院議員、下院議員の選出方法についても批判していた。

 草案では、上院議員の定数は200人(任期5年)で、各分野の専門家・有識者が立候補後に互選により選任されるとなっている。だが、民政移管後の5年間は、国家平和秩序評議会(NCPO)の助言により、国王が任命する250人で構成されると明記されている。NCPOは軍部が主導しているので、実質的に軍部が上院議員全員を指名することができるシステムとなっている。

 また、民政移管後5年間は上院も首相選出に加わるため、上院250議席、下院500議席の過半数の375議席のうち、少なくとも250議席はNCPOがキャスティングボードを握ることとなり、軍部の意向に沿った首相が選出される可能性を高めている。

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最終更新:9/22(木) 6:10

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