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東武百貨店、再開発前の池袋店で続く「迷走」

東洋経済オンライン 9月22日(木)6時0分配信

 都心駅前立地への出店を加速させてきた家具大手のニトリが、新たに池袋へ本格的な店舗を出店する。

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 出店先は東武百貨店池袋店(東京・豊島区)。関東で最大級の売り場面積を誇る百貨店だ。その6階リビング売り場の約半分にあたる3700平方メートルを改装し、2017年春をメドに東武池袋店のテナントとして開業する。百貨店の客層に合わせて、やや高めの中価格帯の品ぞろえを拡充させる予定だ。

 ニトリは2015年2月から池袋駅東口の池袋サンシャインシティ内で、雑貨のみを扱う小型店「デコホーム」を展開している。今回、駅直結の好立地と広い売り場面積を確保できる東武百貨店へも出店することで、池袋エリアでの存在感を高める。

■百貨店への出店は4例目

 ニトリの百貨店への出店はこれが4例目だ。2015年に出店したプランタン銀座店は、当初の計画を上回る好業績で2017年3月から2フロアに拡張する。9月9日には高島屋港南台店にも出店。開店時には100人ほどの客が並び、2週間経過した今も快走が続いている。12月には東京・新宿「タカシマヤタイムズスクエア」南館の店舗もオープンさせる。

 運営するニトリホールディングスの店舗開発責任者である須藤文弘専務は、「メディアがかぎつける2~3年前から、こちらには百貨店の閉店やテナント募集の情報が入っている」と語り、百貨店との“蜜月”ぶりをほのめかす。都心進出の足掛かりとして、百貨店の駅前好立地を活用していく方針だ。

 従来のビジネスモデルが限界を迎えている百貨店にとっても、ニトリの入店はうまみが大きい。東武池袋店も例外ではない。

東武池袋店にとってのうまみとは?

 東武池袋店は、売り場面積8万2963平方メートルの「巨艦」だが、現在はその広さゆえに、「従来の消化仕入れ型ビジネス(百貨店が自前では商品を仕入れず、入居する店舗が売り上げたときに仕入れた形にするビジネスモデル)では、立ちゆかなくなっている」(東武百貨店関係者)。

 東武百貨店の経営体制にも迷いが生じている。創業家出身の根津公一氏が社長を退いた2013年からの3年間で、社長は3人も変わっている。旧みずほコーポレート銀行(現みずほ銀行)出身の重田敦史氏のあと、2015年3月には東武百貨店初の生え抜き社長として島田義彦氏が就任したが、2016年3月には東武百貨店の親会社である東武鉄道の出身で、東京スカイツリーの商業施設「東京ソラマチ」を運営する会社の社長も経験した岩瀬豊氏へバトンタッチしている。「百貨店出身の人材が社長適任になるまでの中継ぎ人事」(業界関係者)といった見方や、「銀行や電鉄出身社長では、効率経営を重視するばかりで品ぞろえのことがわかっていない。現社長は、東武百貨店を『ソラマチ』のようなショッピングモールにするつもりではないか」(百貨店幹部)と苦言を呈する声もある。

■2期連続赤字で200人強の希望退職

 実際、業績は極めて厳しい。東武百貨店の直近2016年2月期の売上高は1450億円で、2期連続の前年割れ。ほかの都心大型百貨店がインバウンド(訪日外国人)消費で潤う中、その需要をうまく取り込めなかった。主力の衣料品をはじめとした本業の売り上げも不振だ。

 営業損益は7.8億円の赤字で、2期連続の営業赤字。しかもその赤字額は2015年2月期の3.7億円から倍増している。このため希望退職を募集する事態に陥り、2月末には全社員の2割にあたる200人強が応じた。これによる退職給付金がかさんだこともあり、2016年2月期の最終損益は48億円の赤字となった。東武百貨店の売上高の7割を占める池袋店の損益は未公表だが、足元では赤字と見られる。

 東武百貨店は、希望退職の募集と同時に、給与体系も見直した。業績連動給与と銘打つものの、売上高が漸減するなかでは「実質的に人件費削減策になっている」(同社OB社員)。

 一方、東武百貨店のある池袋駅西口の反対側、同駅東口に位置する西武池袋本店は堅調だ。

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最終更新:9月22日(木)11時25分

東洋経済オンライン