ここから本文です

“レッスルマニア11”の主役はだれだ?――フミ斎藤のプロレス講座別冊WWEヒストリー第185回(1995年編)

週刊SPA! 9/22(木) 9:10配信

 “レッスルマニア11”(1995年4月2日=コネティカット州ハートフォード、ハートフォード・シビックセンター)は全7試合をラインナップ。バックステージでの政治的なかけひきがつづいたメインイベントのポジション争いは、ビンス・マクマホンの思惑どおり“LT”ローレンス・テイラー対バンバン・ビガロのシングルマッチが大トリをとり、ディーゼル対ショーン・マイケルズのWWE世界ヘビー級選手権は第6試合にレイアウトされた。

 1985年の第1回大会から11年めを迎えた年にいちどのプロレスの祭典“レッスルマニア”がハートフォード・サイズの中都市で開催されたのはこれが初めてのことだった。しかし、有料入場者1万5000人、興行収益75万ドル超という数字は前年度の“レッスルマニア10”マディソン・スクウェア・ガーデン大会を上回るものだった。

 PPV契約世帯数も即日結果で36万5000世帯を突破。視聴契約料金がこのイベントではそれまでの定価だった22ドル95セントから34ドル95セントに値上げされたが、懸念された“買い控え現象”は起きなかった。

 今大会のオープニング・シーンではこれまでの10大会の名場面がビデオ・スクリーンに映し出され、ロディ・パイパーやミスターTによる“レッスルマニア1”“レッスルマニア2”の懐かしのシーンがライブの観客を喜ばせたが、ライバル団体WCWに移籍したハルク・ホーガンと“マッチョマン”ランディ・サベージの映像だけがきれいにカットされていたため、中級レベル以上のマニア層にとってはやや違和感をおぼえる“編集”になっていた。

 第1試合ではデイビーボーイ・スミス&レックス・ルーガーがイライ&ジェイコブのザ・ブルー・ブラザース(ブルース・ブラザース)を一蹴。ほんの1年まえまでは“次期WWE世界王者最有力候補”といわれていたルーガーは、いつのまにかその番付が“前座”に降格していた。

 第2試合のインターコンチネンタル選手権は、挑戦者のレーザー・ラモン(スコット・ホール)が王者ジェフ・ジャレットを反則勝ちで下したが、タイトルマッチ・ルールで王座の移動は認められなかった。

 この試合にはR・ラモンのセコンドして123キッド(ショーン・ウォルトマン)が、ジャレットのセコンドとしてローディー(ブライアン・アームストロング=BG・ジェームス)がそれぞれリングサイドにから試合に介入。因縁ドラマはラモン&キッド対ジャレット&ローディーのタッグマッチへと移行した。

 第3試合にラインナップされたアンダーテイカー対キングコング・バンディは、明らかなミス・マッチングによる凡戦に終わった。MLBアメリカン・リーグの名物アンパイヤ、ラリー・ヤング氏が特別レフェリーとしてこの試合を裁いたが、やはり、“レッスルマニア”にはこういったゲスト・セレブリティーの存在は欠かせないのだろう。

 K・バンディはかつて“レッスルマニア2”のメインイベントでホーガンと金網マッチで対戦した大物ヒールだが、やはりブランクは大きかった。バンディのセコンドには“ミリオンダラー・マン”テッド・デビアスがつき、試合後半には“プロ格闘家”カマが乱入してきた。カマはUFC初期のスターだったキモのパロディで、その正体は怪奇派のパパ・シャンゴ、のちのゴッドファーザー(本名チャールズ・ライト)だった。

 前半戦のハイライトは、第4試合にラインナップされたスモーキング・ガンズ(ビリー&バート・ガン)対ヨコヅナ&オーエン・ハートのWWE世界タッグ選手権。ヨコヅナ&オーエンのセコンドにはミスター・フジとジム・コーネットのふたりの悪党マネジャーがついた。これは王者チームのガンズがベビーフェースで、挑戦者チームのオーエン&ヨコヅナがヒールというレイアウトをきっちりと観客に伝えるためのひとつの“演出”だった。

 この試合はヨコヅナ&オーエンがS・ガンズを下しWWE世界タッグを王座を獲得したが、ヒール・チームのヨコヅナとオーエンにブーイングらしいブーイングが浴びせられることはなかった。ホーガンが去ったあとのWWEの“ニュージェネレーション路線”では、なぜかヒールに観客の声援が集中し、ベビーフェースにブーイングが浴びせられるという逆転現象が起きていた。オーエンはどんなに悪役らしくふるまってもなぜか観客に応援されてしまうヒールだった。(つづく)

※この連載は月~金で毎日更新されます

文/斎藤文彦 イラスト/おはつ

※斎藤文彦さんへの質問メールは、こちら(https://nikkan-spa.jp/inquiry)に! 件名に「フミ斎藤のプロレス講座」と書いたうえで、お送りください。

日刊SPA!

最終更新:9/22(木) 9:10

週刊SPA!

記事提供社からのご案内(外部サイト)

週刊SPA!

扶桑社

2016年12月13日号
12月06日発売

¥390

・[転売で儲ける](秘)メソッド
・[ゲス不倫ブーム]知られざる波紋
・[痛すぎる発言]ランキング
・冬のボーナス[有名企業50社]対決

Yahoo!ニュースからのお知らせ

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

北朝鮮からの脱出
北朝鮮での幼少時代、『ここは地球上最高の国』と信じていたイ・ヒョンソだったが、90年代の大飢饉に接してその考えに疑問を抱き始める。14歳で脱北、その後中国で素性を隠しながらの生活が始まる。 これは、必死で毎日を生き延びてきた彼女の悲惨な日々とその先に見えた希望の物語。そして、北朝鮮から遠く離れても、なお常に危険に脅かされ続ける同朋達への力強いメッセージが込められている。