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制服ぶん投げ車掌とクレーマー天国日本

cakes 9月23日(金)18時0分配信

近鉄奈良線東花園駅で遅延に対応していた車掌さんが、ホームに飛び降りて重症を負うという事件が発生しました。海外経験豊富な@May_Romaさんは、働く人にとっては地獄のような日本を象徴するような事件だと述べます。日本の職場環境を改善するにはどうしたら良いのでしょうか?


近鉄奈良線河内小阪駅で、70代の女性がはねられるという事故が起きたために、奈良線大阪難波-東花園駅間が一時運転を見合あわせ、遅延が発生しました。女性は70代で自分から線路に飛び込んだという目撃情報もあるようです。

遅延に乗客は相当怒っていたようで、近鉄奈良線東花園駅で遅延に対応中だった車掌さんが、制帽と制服の上着を脱ぎ捨てて5メートル下のホームに飛び降りて重症を負うという悲劇が起こってしまいます。車掌さんは乗客に取り囲まれていたという情報もあるようです。

TwitterやFacebookでは車掌さんの状況に同情する意見が多いようですが、リアルな世界ではどうでしょうか?「大阪だから仕方ない」「東花園駅の乗客はひどい」といった意見もありますが、人口の多い都内だったらもっと酷かったのではないでしょうか?

日本は自分が客になると、地獄のクレーマーになってしまう人が大半です。しかしそれを認めたくない日本人が大半です。ネットでは車掌さんを擁護しても、いざ自分が同じような状況になったら、リアルな世界では文句を言う人が少なくないでしょう。

交通機関だけではなく、コンビニ、回転寿司、銀行、プロバイダ等消費者を相手にする商売をやったことがあれば、日本人というのは、「身内」ではない人間には、ナチも真っ青の鬼畜に変貌することがよくわかるでしょう。だからサービス業の人は精神を病んでしまうのです。しかも賃金は激安です。

私も学生の頃、薬局やデパートの店員、ピザ屋のバイトをやりました。働き始めてからも消費者相手のサービスに関わったことがありますので、この車掌氏がどんな理不尽にさらされていたか、手に取るようにわかります。

理不尽な文句をいうのは暴走老人だけではなく、ありとあらゆる年齢層に職業、居住地であります。天候不良やインフラダウンの様な不可抗力、対応する人間の個人的な事情(体調が悪い等)、自分の理解不足などは、まず認めない人が多いのです。

自分の要求が通るまで延々とゴネる客、電話をしてくる客というのは、欧州よりも日本のほうが遥かに多いのです。

欧州に限らず、他国の客の相手は、日本よりも遥かに楽です。そもそもの要求レベルが低いので、自分の要求が通らなくても「まあ仕方がないな」と諦めてくれる客が多いのです。

なぜそうなるかというと、自分が職業人として仕事していても、熱心に働いていないからです。だからどうせ相手も適当にやっているだろうという前提があります。つまり他人に期待していなわけです。

さらに、客と商売人は単に取引をやっているに過ぎないという考え方もあるので、値段以上のコトは求めません。値段以上のことを求めると、自分が提供する側になったときに酷い目に会います。だからお互い様です。

外国人でちょっと知恵のある人間は、こういう違いをよく知っていますので、日本人に何か売る商売には手を出しません。日本はお客でいる分には最高の国ですが、働いてお客にサービスなりモノを提供する側となったら最悪だと知っているからです。面倒臭い割には儲からない商売なぞ誰もやりたくありません。

ところで、海外で日本の客が、今回の事件のように、駅員に延々と詰め寄った場合どうなるでしょうか。

イギリスの場合は、あまりひどいと鉄道警察を呼ばれて連行されます。働く人間に対する暴力や嫌がらせには「例外なし」で対応している組織が多いので、こういう状況で重要なのは、客への謝罪ではなく、働く人を守ることです。電車が遅れたことで死ぬ人はいませんが、駅員は客に殴られたら死にます。駅員を守らなかった場合、鉄道会社が、安全衛生違反で訴訟を起こされることもあります。賠償金は莫大です。

最初から鉄道警察や、警察が「すぐに」出動できる体制になっているので、朝のラッシュ時に地下鉄が不通になって駅に人があふれると、まず登場するのが機動隊のような防具を付けた警察官の集団です。謝罪する駅員さんではありません。客はおもてなしの対象ではなく「低能な暴徒」という前提です。

ちょっと賢い人が多い地域だと、駅員さんに対して詰め寄る人を「まあまあ」となだめる人も出てきます。激怒するのが恥ずかしいという雰囲気です。特に、人身事故やインフラの老朽化などは不可抗力なので、駅員さん個人ではどうにもなりません。騒いで駅の人の邪魔をすると、復旧に時間がかかるので、大人しく指示従ったほうが合理的でしょう、という考え方です。つまりこの考え方に沿うと、東花園駅の乗客には合理的思考ができない人が多かった、ということになります。

日本のクレーマー地獄体質を変えるにはどうしたら良いのでしょうか?

まず、理不尽なクレームを付けてくる客は無視せよということです。値段以上のサービスなど提供しなくて結構です。客にはサービスを提供してやっているのだ、という上から目線が正しいのです。客を見たら「こんなガガンボにサービスしてやっている俺は偉大すぎる」と唱えましょう。上から目線は自分を守るのです。

次に、ひどい客はどんどん警察に突き出せば宜しいのです。日本は安全すぎる国ですから、警察は仕事が増えて嬉しいでしょう。

3つめに、働く人は真面目に仕事をしてはいけません。仕事というのはそもそも人間に対する懲罰です。真面目にやる暇があったら、不労所得を得られる方法、サボる方法を熱心に考えなければなりません。昼寝に最適な会議室はどこか、上司に見つからない喫茶店はどこか、面倒くさいプロジェクトは誰に押し付けるべきか。斜め前のオッサンの髪の毛がどのぐらい減ったか。

懲罰に身を委ねるのは人生の浪費です。

May_Roma

最終更新:9月23日(金)18時0分

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