ここから本文です

84歳でも元気ハツラツ!爆笑エピソードで綴るテレビ黎明期、きらめくスターたちとの交流 『崑ちゃん ボクの昭和青春譜』 (大村崑 著)

本の話WEB 9月23日(金)12時0分配信

昭和30~40年代、『とんま天狗』などの番組でコメディアンとして絶大な人気を獲得、その後は俳優、司会、コメンテーターとして長く活躍し続ける大村崑さん。ダイハツのミゼットや、今もホーロー看板が各地に残るオロナミンC(大塚製薬)など多くのCMにも起用された国民的な人気者が語るその軌跡は、昭和の芸能史でもある。

――テレビの人気絶頂の裏話、昭和を彩るスターや喜劇人とのエピソードが満載ですね。

「あの時代は、エネルギーいっぱいで、本当に毎日が面白かったですね。みんな才能にあふれていて、テレビ、舞台、そして地方公演などでも笑えるエピソードがいっぱいありました。江利チエミちゃんと高倉健さんが劇場の楽屋で、半分に切ったメロンをカレーのスプーンで食べていた“衝撃”の光景に始まって、『桃屋』のCMの三木のり平さんに間違われてばかりいる話、美空ひばりさんが耳元で名曲『柔』を歌ってくれた話、ハリウッド映画で僕がやるはずの役を高倉健さんに奪われた話、『とんま天狗』の大ファンだった一八代目中村勘三郎さんとの共演などなど、僕が出会ったスターや喜劇人とのエピソードを『「崑ちゃん」秘話』という章でまとめています」

――それもまさに抱腹絶倒と呼ぶにふさわしい話ばかりです。

「これらの話は、僕にとっては“ボヤキ”なんですよ。中でも『未完の話』という章では思いっきりボヤいてます。森繁久彌さんからもらうはずの船が未だに届いてない話、そして未だに届かないクルマの話。この二つの話はよく講演でも話すんですが、いつも大爆笑になります。クルマの方はこんな話。昔テレビ『やりくりアパート』のミゼットの生CMで、ダイハツさんはものすごく売り上げを伸ばしたんです。そのお礼として、僕と佐々十郎に乗用車とダンプがプレゼントされるはずだった。ところがこれが未だに届かないんです。もう半世紀以上も経っているのにね。これは積年のボヤキと言っていいでしょう。佐々さんは『ダンプ、ダンプ。ダンプまだきいひん』言うて死んだんですよ(笑)」

――幼少時代の思い出、伯父夫婦に育てられた少年時代、そして戦後の意外な素顔も描かれていました。

「僕はどうしても『とんま天狗』やオロナミンCの『崑ちゃん』のイメージが強いので、これまではそのイメージを壊さないようにと気をつけてきました。でも僕も84歳です。そろそろイメージとは違った面をさらしてもいいかなと思いました。生い立ちも普通じゃなかった。9歳の時に大好きだった父親が腸チフスで亡くなり、伯父夫婦の子供になったんです。本家の跡取りですね。とんでもなく厳しい伯母に育てられました。戦後は進駐軍の闇物資を売る商売を、のちに有名人となる男とやったりしてましたね。キャバレーのボーイだった頃は、よく喧嘩もしてた。当時の写真見ると手には包帯をしている。まさに喧嘩の名残りですね。ある意味で、そういう気の荒いところもあったから、芸能界という特殊な世界で生き残ってきた、という想いもあるんですよ」

――『番頭はんと丁稚どん』『とんま天狗』などで人気絶頂だった頃の裏話やオロナミンCのエピソードも初めて知ることばかりでした。

「昭和30年代前半は、まだVTRはありませんからぜんぶ生放送です。ピーク時でレギュラー11本という殺人的なスケジュールでしたね。ファンも生放送と知ってるからテレビ局を出るとものすごい数のファンに取り囲まれていました。でも、そんな人気絶頂の頃に、僕と芦屋雁之助と芦屋小雁が一緒に結婚式をあげたんですよ。3組の合同結婚式の様子は生放送で全国に流れました。3人同時に1週間番組を休んで新婚旅行にも行きました。もちろんそこでも取材攻めでした。

 オロナミンCのCMは、最初出演を断っていたんですよ。僕は若い頃に片肺を切除していたから、ちっとも『元気ハツラツ』なんかじゃなかった。でも、何度も説得されて、最後は契約書の出演料の金額を見た家内が『やらせていただきます』と言っちゃったんだけどね(笑)」

――崑ちゃん独自の若さの秘訣や健康法も紹介しています。

「長生きの秘訣は、正しい食事と“笑い”。森繁久彌さんが96歳まで生きたのはユーモアがあったからなんです。愛される年寄りを演じるお茶目さが、あの人を長生きさせたんですね。

 でもね、僕は若い若いと言われて嬉しい一方でとても寂しいんです。だって、先輩や友達が次々といなくなるんですよ。こんなこと考えてもみなかった。『崑ちゃん』の本に登場する人のほとんどは、もうこの世にはいません。『そして誰もいなくなった』って、アガサ・クリスティやないんやから。それにしても、なんで僕ばかりみんなから寄ってたかって香典むしり取られなきゃならんのですかね(笑)。もう、かないまへんわ」

大村崑(おおむら・こん)

1931年11月1日、兵庫県生まれ。キャバレーのボーイから司会、そしてコメディアンへと転身。昭和30年代、黎明期のテレビ軽演劇『やりくりアパート』『番頭はんと丁稚どん』『とんま天狗』で全国的なスターに。大塚製薬のオロナミンCドリンクのCMは「うれしいと眼鏡が落ちるんですよ!」などのコピーとともに有名。

聞き手:「本の話」編集部

最終更新:9月23日(金)12時0分

本の話WEB

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

地球外生命を宿しているかもしれない1つの惑星と3つの衛星
地球外にも生命はいるのでしょうか?NASA(アメリカ航空宇宙局)の惑星科学部門の部門長であるジェームズ・グリーンと一緒に、地球外生命を宿していそうな場所を太陽系内の中で探してみましょう。 [new]