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9・11式典で卒倒 クリントン候補を襲う「健康不安」

週刊文春 9/23(金) 7:01配信

 アメリカ大統領選挙がまた予想外の展開をみせている。

 9月11日、同時多発テロの追悼式に出席した民主党のヒラリー・クリントン候補が体調不良で会場から慌ただしく去ったのだ。両脇を護衛役に支えられ、黒塗りのバンに乗せられる直前、卒倒のようにふっと崩折れた光景は全世界に流された。

 地元のABC系テレビは「クリントン氏死亡」という大誤報まで一時、流した。キャスターが「ヘルス(健康)」という言葉を「デス(死)」と誤解したというのだが、衝撃波を異様な形でさらに広げる結果となった。

 大統領候補にとって非常に重要な9・11テロ追悼式を途中退席するのはよほどの疾患のはずだ。だがクリントン氏は病院には行かず、娘のチェルシーさん宅へ向かった。

 そして2時間後には路上に出て「元気です」と報道陣に応えた。CNNテレビの電話インタビューにも応じ「私は元気で健康」と繰り返したが、式典翌日から予定していたカリフォルニア州での選挙活動はキャンセルした。

 クリントン陣営は当初、中座の原因について「アレルギー」「熱中症」「過労」などという非公式な説明を流していたが、遂にクリントン氏がその2日前に肺炎だと診断されていたと公式に発表した。

 説明が二転三転したことで「秘密主義」「虚偽の発表」という批判が広がり、重大な疾患を隠しているのではないかという疑惑を再燃させた。

 実はクリントン氏の健康問題はこれまでも事あるごとに、メディアで取り沙汰されてきた。2012年12月、国務長官時代に彼女が転倒して脳震盪を起こしたことは公式に発表されたが、その後遺症が脳血栓のような形で残っている、という指摘もある。

 言うまでもなく、アメリカ大統領といえば、世界一の激務といっても過言ではない。

 今回の出来事で、世論調査でのクリントン氏の支持率は早くも下降を示し、共和党のドナルド・トランプ候補にまた追いつかれた。トランプ氏はこれまでも「クリントン氏の健康不安」をたびたび口にしてきたが、私的メールの乱用やクリントン財団の不正疑惑の糾弾とともに今後ともその追及を強めるはずだ。アメリカ大統領選の行方は、まだまだ波乱含みである。


<週刊文春2016年9月29日号『THIS WEEK 国際』より>

古森 義久(在米ジャーナリスト)

最終更新:9/23(金) 7:06

週刊文春

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