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バルセロナはなぜ「ワールドクラスでない」GKを獲得したのか

webスポルティーバ 9月23日(金)7時0分配信

【サイモン・クーパーのフットボール・オンライン】バルサの第2GK、ヤスパー・シレッセン物語(前編)

 FCバルセロナが自分に興味を持っていると聞いたとき、ヤスパー・シレッセンは冗談だろうと思った。

■試合前に談笑する武藤嘉紀と宇佐美貴史

 アヤックスのGKだった彼は、そのころプレーに精彩を欠いていた。シレッセンに言わせれば、調子のいいときでさえ、彼があこがれるエドウィン・ファン・デル・サールのほうが自分より「何十倍もうまい」という(たぶん、そのとおりだ)。

 この27歳のオランダ人GKはワールドクラスではないのだろう。だが、彼は「バルサ・タイプ」のGKだ。バルサがGKに求める尋常ではない要求に応えることができる。それはGKとは、たまたまグローブをはめているフットボール選手であるというものだ。

 物語の発端となるのはヨハン・クライフ、今年3月に他界したオランダ・フットボールの父だ。クライフはオランダ的な思考をバルセロナに持ち込んだ。最初は1970年代に選手として、そして1988~96年には監督としてだ。

 クライフは、シュートを止めるくらいしか仕事をしない普通のGKを置くのは、選手の無駄づかいだといつも思っていた。パスを回すのは10人よりも11人のほうがいいし、必要があればそのうちのひとりが相手のシュートを止めればいいのではないか、と彼は考えた。

 こうしてクライフは、新しいGKの概念をつくり出した。彼にとってGKとは、グローブをはめたフィールドプレーヤーであり、チームの「最初のアタッカー」だ。

 だから、ヤン・ヨングブルートのような凡庸なGKでも、オランダ代表で2度のワールドカップ決勝に出場することができた。ヨングブルートはシュートを止めるのは得意ではなかったが、フットボールはできたし、味方DFの背後にある50メートルのスペースをうれしそうに守った。

 とはいえ、完璧な「クライフ派」のGKが現れはじめたのは、90年代になってからだ。最初はファン・デル・サール。のちにドイツがクライフ的なGK観をとるようになると、マヌエル・ノイアーが登場した。

 バルサやアヤックス、バイエルン・ミュンヘンやドイツ代表のGKは、セーブをたくさんする必要がない。普通の試合なら、手より足でボールを扱うほうが多い。

 クライフを信奉するジョゼップ・グアルディオラも、フットボールのできるGKが好みだ。マンチェスター・シティの監督に就任した彼は、昨シーズンまで正GKだったジョー・ハートに見切りをつけた。その理由は、ハートがなんでもないシュートを防げないということだけではない。このイングランド人GKは、パスがあまりにヘタなのだ。

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最終更新:9月23日(金)16時47分

webスポルティーバ

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