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日本で恐竜の全身骨格が見つかる 心躍る発掘記

Book Bang 9/23(金) 17:19配信

 恐竜博が大人気だ。全国規模で開催されている「恐竜博2016」だけでなく、地方それぞれが工夫を凝らした展覧会を催し、夏休みの定番になっている。太古、こんなに大きな動物が地球の上を歩いていたのか、と全身骨格標本を見るたびに驚く。

 北海道むかわ町穂別で03年4月、アマチュアの化石収集家によって日本古生物学史上最大級の発見があった。崖の断面に露出した7個の岩塊。化石を含むその岩塊(ノジュール)は地元の穂別博物館に寄贈されたが、調査されることはなく時は過ぎた。

 それから10年以上が経過した13年7月17日、日本初の恐竜全身骨格発見が穂別博物館と北海道大学の連名で発表された。ハドロサウルス科の新種と思われる恐竜の化石がまるまる一体見つかったのだ。

 そもそも80年代までは、日本の地層から恐竜化石は見つからないと言われていた。最近ではそれほど珍しい話ではなくなりつつあるが、ほとんどは骨の欠片(かけら)の化石だ。むかわ町の7個の岩塊をクリーニングして出てきたのは13個の尾椎骨。それも個々の骨は繋がっていたのだ。

 本書は発見から10年間の出来事を時系列で説明し、その上、古生代の生物の分類、生活、地層の見方までを詳細に記していく。誰がどのようにして発見したのか、なぜ恐竜の骨だと判明したのか、そして8メートルにも及ぶ全身をどうやって掘り出していったのか。世紀の発掘に携わった様々な人に焦点を合わせ、彼らの思いを丁寧に拾っていく。

 一口に恐竜と言っても、実は勘違いされていることが多い。恐竜とは「直立歩行をする爬虫類」を指す。この段階で、空を飛ぶもの、水の中を泳ぐものは排除される。「直立歩行をする爬虫類」の化石が日本ではなかなか見つからなかったのだ。

 この発見に関わった学者の中で一番有名なのは北海道大学総合博物館准教授の小林快次だ。NHKの「プロフェッショナル」で紹介された天才研究者の存在がなければ、さらに膨大な時間がかかっていただろう。

 いま恐竜は町おこしの資産になる。むかわ町はもともとアンモナイトの産地であり、海洋生物の骨もたくさん見つかっている。その地でどうして恐竜が見つかったのかを推理するだけでも心が躍る。全体像はどんな姿だろう。お披露目が楽しみだ。

 小林は語る。

 ―私たちが発見したのは、まだ「ダイヤの原石」でしかない。―

「ザ・パーフェクト」の物語はこれからなのだ。

[評者]――東えりか(書評家)

※「週刊新潮」2016年9月15日号掲載

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最終更新:9/23(金) 17:19

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