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【特別公開】エアインタビュー問題、追及レポート第2弾。現地で不可能なインタビューがなぜ日本で可能に?

フットボールチャンネル 9/23(金) 10:00配信

 大きな注目を集めるエアインタビュー問題。この問題に横たわる闇を1人でも多くの人に共有して欲しいという編集部の願いから、『フットボール批評issue12』(2016年7月発売)に掲載されたノンフィクション作家・田崎健太氏による追及第2弾の記事を特別に全文掲載する。

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メッシのインタビュー掲載。しかし、日本の紙媒体の取材を受けた事実はない

「捏造記事を許すな」と題した『フットボール批評10』の記事は大きな反響を呼んだ。これは『欧州サッカー批評11』(双葉社)に掲載されていたFCバルセロナ監督のルイス・エンリケの一問一答のインタビューは架空取材――エアインタビューである疑いが強いという内容だった。

 このエアインタビュー疑惑は、インターネットメディアの他、ラジオ番組でも取り上げられることになった。サッカーと関係のない、一般誌の編集者や記者も興味を示しており、筆者も度々詳細を尋ねられたものだ。

 その反応は面白い程、似通っていた。――あの記事はたまたまインタビューしていなかっただけで、過去には何らかの形で取材は行われていたのではないか?

 彼らがそう考えるのも理解できる。

 編集という作業は、取材データを“売り物”として整える仕事でもある。例えば、人が話した内容をそのまま原稿にすると、矛盾が出てきて文意が乱れることもある。そこで言葉遣いを改め、順序を入れ替える。

 だから、捏造記事――エアインタビューも編集作業の延長ではないのか、と。

 良心的な編集者、書き手は、記者会見や他の取材記事をつなぎ合わせる、あるいは全く話を捏造して、一問一答の署名原稿にするなど想像できないかもしれない。しかし、残念ながら日本の“欧州サッカー専門誌”では日常的に行われていることなのだ。

 例えば――。

 5月2日発売の『ワールドサッカーダイジェスト』(日本スポーツ企画出版社)はFCバルセロナのリオネル・メッシのピッチ場での写真を表紙に使い、〈INTERVIEW WITH THE MAN〉として、5ページに渡って、彼のインタビューを掲載している。

 記事の始まりはこんな風だ。

〈ワールドサッカーダイジェスト(以下WSD)日本のフットボール専門誌『ワールドサッカーダイジェスト』で、レオ(メッシの愛称)が今シーズンのリーガ・エスパニョーラのベストプレーヤーに選ばれた。選考委員は、セルヒオ・ゴンサレス(前エスパニョール監督)と、スペイン人の記者ふたりらしい。感想を聞かせてもらえる? リオネル・メッシ(以下LM)3人とも優しいんだね(笑)。ありがとう。感謝の気持ちでいっぱいだよ。ここまでチームメイトの助けになろうと、チームの勝利のためにベストを尽くしてきた。きっと、そのあたりを評価してもらえたんだろう。シーズンは残りわずか。最高のラストを迎えられるように、もうひと踏ん張りしないとね。(以下略)〉(原文ママ)

 執筆者は〈Roberto Martinez〉、翻訳は〈Masayuki Shimomura〉となっている。

 ワールドサッカーダイジェスト誌のこの号では「リーガ・エスパニョーラのベストプレーヤー」を選出。その“受賞”を称えるためインタビューを行ったという体裁をとっている。

 ところが――。

 株式会社フットバリューアジアの代表取締役の今井健策に、このインタビュー記事について尋ねると、困惑した顔になった。「メッシの取材についてはFCバルセロナの広報を通した場合でも最終的に代理人であるホルヘ・メッシが、取材を受けるかどうか判断しています」

 ホルヘ・メッシとはメッシの父親である。

「その上で、2008年から日本向けのメディアについてはうちの会社がコーディネートを任されています。日本の記者、レポーターが取材をする場合はもちろん、外国人記者が日本向けにメッシへ取材を申し込んだ場合でも、ぼくのところに回ってきます」

 つまり、クラブ経由で取材を受けていないメッシに関しては、日本での媒体露出については、全てホルヘ=今井が把握していることになる。

 今井によると、2008年から一度も日本の紙媒体の取材を受けていないという。

 つまりこの記事はほぼエアインタビューだと思われる。

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最終更新:9/23(金) 10:00

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