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チームしゃちほこ、花澤香菜、KinKi Kids…Base Ball Bear 小出祐介の“進化する作家性”を探る

リアルサウンド 9/23(金) 18:01配信

 「自分のなかに作家チャンネルがある」ーー『ヒロインたちのうた アイドル・ソング作家23組のインタビュー集』(南波一海著)で、小出祐介はこう語った。

  Base Ball Bearの全楽曲を手がける小出は、自身のバンドのほかにも、ベッキー♪♯「15 ~Spring Flag~」、Chocolat「風邪」、東京女子流「Partation Love」、遠藤舞「Today is The Day」で作詞作曲を、岡村靖幸とのコラボ曲「愛はおしゃれじゃない」「ラブビデオ」で作詞を担当してきた。この他にも、小出は雑誌『B.L.T』で「完全在宅主義者」というアイドルコラムを連載するなど、アイドルファンとしても知られていることから、アップアップガールズ(仮)の「Beautiful Dreamer」、チームしゃちほこの「colors」といった女性アイドルグループへの楽曲提供を通じて、彼の音楽的センスの豊かさが垣間見える試みを行なってきている。加えて、バカリズムの「AVを観た本数は経験人数に入れてもいい」の作曲も手がけるなど、ジャンルの垣根を越えてその才能を発揮してきている。

 そして、先日9月7日に放送された『アイキャラ2』(日本テレビ)で、小出が新たに作詞作曲を手掛けた「乙女心がとめられない!」のダミーボーカルVer.が初オンエアされ、彼の“作家チャンネル”が新たなフェーズに入ったことを感じた。手拍子や、<(え、なんで!?)><(キミ キミキミ!)>といった掛け声が入っている点など、明らかにこれまでに手掛けてきたものとは大きく異なっている同楽曲は、架空のアイドルキャラ・綾瀬陽菜のCVを務める花澤香菜が歌う、王道のアイドルソング。合いの手が入れやすいキャッチーな曲に乗せて、切なくも楽しい片思いをストレートに描いた詞が歌われている。花澤とのコラボはこれで3回目。小出も同番組内で、「初めてちゃんとしたアイドルソングを作った」と語っており、彼の転機となる作品となりそうだ。

 これまでにも花澤とは、小出が作詞・作曲を担当した「last contrast」を提供し、Base Ball Bearの「恋する感覚」では花澤がゲストボーカルとして参加するという形で、コラボレーションしてきた。「恋する感覚」では、<きゅるり>という恋に落ちる瞬間を表現したキュートな擬音を用いた歌詞が印象的だが、サウンドはあくまでもロックだった。 

 また、小出の”作家チャンネル”が、「乙女心はとめられない!」で新境地を見せたことを機に、今後は男性アイドルにも楽曲提供を行なっていくことも十分に考えられる。山下智久「YOU」、KinKi Kidsの最新シングル『薔薇と太陽』収録の「Unlock Baby」と最新アルバム『N Album』収録の「Summer~僕らのシルエット~」など、現在のところ、歌詞のみの提供にとどまっているが、小出の作家としての活動は男性アイドルグループにまで広がっているためだ。

 4月30日に日比谷野外音楽堂で開催した『日比谷ノンフィクションV~LIVE BY THE C2~』で小出は今後について、メンバーだけの音にこだわらず、キーボードや金管といった新たな音を今後の作品で取り入れていく可能性も示唆していた。9月28日にはリニューアル版ベストアルバム『増補改訂完全版「バンドBのベスト」』をリリースするBase Ball Bear。11月からは、同作リリースを記念した全国ツアーも開始する。今回の「乙女心はとめられない!」で見せた、小出の作曲センスに秘められたポテンシャルの高さが、サポートを加えての新体制となった自身のバンドの中でも、うまく作用していくことを期待したい。

※記事初出時、一部事実関係に誤りがございました。訂正してお詫びいたします。

村上夏菜

最終更新:9/23(金) 20:12

リアルサウンド