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なぜ放置? 日本だけ法的に「無制限時間労働」OK

プレジデント 9月23日(金)6時15分配信

■「36協定」こそ長時間労働の温床

 安倍首相を議長とする「働き方改革実現会議」で残業時間の上限規制を導入する方針が打ち出された。

 目玉は現行の時間外労働時間規制の見直しにあり、中身によっては長時間労働問題の決定打になるけもしれない。

 方向性は6月2日に閣議決定された「ニッポン一億総活躍プラン」の中でこう示されていた。

 「労働基準法については、労使で合意すれば上限なく時間外労働が認められる。いわゆる36(サブロク)協定における時間外労働規制の在り方について、再検討を開始する」

 この36協定こそ長時間労働の温床になっている。

 日本の労働基準法では使用者は1日8時間、週40時間を超えて労働させてはならないと定めている。これを法定労働時間という。

 これ以上働かせると「使用者は懲役6カ月以下、罰金30万円以下の罰金」が科される規定がある。

 いわば法律で許される労働時間ギリギリのラインだが、しかし実態は労基法36条に基づく労使協定(36協定)を結べば、法定労働時間以上に働かせることができる。

 36協定には一応残業の限度時間が設定されている。

 1週間15時間、1カ月45時間、1年間360時間という限度だ。これだけをとってみれば、なんだ、日本にも上限規制があるじゃないかと思うかもしれないが、じつはこれを超えて働けせることができる規定がある。

■無制限に働かせることができるザル法

 それが特別延長時間に関する「特別条項付36協定」と呼ばれるものだ。

 「臨時的に限度時間を超えて時間外労働をすることが必要とされる場合」「特別な事情が予想される場合」という条件付きであるが、要するに労使がともに、

 「臨時的状態」
「特別な事情がある」

 と認めれば、限度時間を無制限に働かせることができる。

 しかも、36協定の基準はあくまで行政指導の基準だ。法的な強制力はなく使用者に対する“お願い”にすぎない。

 つまり、実態はザル法になっているのだ。

 また、実際に労使協定で締結されている特別延長時間を見るととても信じられないものになっている。

 厚生労働省の調査では1カ月の特別延長時間の内訳で最も多い時間帯は月間「70時間超80時間以下」でその比率は36.2%。

 ところが、過労死基準といわれる「80時間超100時間以下」が16.0%、さらに「100時間超」の会社が5.5%も存在する。

 しかも、その割合は大企業ほど高い。

 実際の残業時間を示すものではなく、企業としては当局の指導を受けないために”保障”にしているわけだが、それにしてもコンプライアンス上も問題ありの時間だ。

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最終更新:9月28日(水)16時45分

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