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MAの次はこれ!アカウント・ベースド・マーケティング(ABM)とはいったい何か

ビジネス+IT 9月23日(金)11時40分配信

ここ最近、BtoBマーケティングの世界で注目を集めているのが「アカウント・ベースド・マーケティング(ABM:Account Based Marketing)」だ。概念そのものは決して新しくはないが、米大手企業では2013年ぐらいから取り組みを開始し、いずれも大きな成果を上げているという。さらにここに来て、マーケティング・オートメーション(MA)ベンダーの一部もABMへの対応を謳いはじめた。MAとABMはどう違うのか。なぜ、ABMを導入すると売上が向上するのか。さらにABMを実現するにはどんなツールが必要なのか。本稿で徹底解説する。

【詳細な図や写真】ABMは決して新しい概念ではないが、とにかく成果が出るのが特徴だ

最近、マーケティングの世界でABMというキーワードが注目を集めている。ABMにはまだ確固たる定義があるわけではないが、米ITSMAによれば、以下のように説明されている。


Account Based Marketing provides a vital strategy for companies that want to create sustainable growth and profitability within their most important client accounts. ABM focuses explicitly on individual client accounts and their needs. More importantly, it is a collaborative approach that engages sales, marketing, delivery, and key executives toward achieving the client’s business goals. All of these attributes contribute to the success of ABM in practice.

アカウントベースドマーケティング(ABM)とは、企業が持つ重要なクライアントにとって、持続的な成長および収益をもたらすための活力ある戦略を提供するものだ。ABMでは、各クライアントとそのニーズに明確に焦点を当てていく。もっとも重要なことは、クライアントのビジネス目標の達成に向け、セールス、マーケティング、デリバリの担当者、および主となる役員が協力してアプローチを行うことである。

より端的に表現したのが、BtoBマーケティングを手がけるシンフォニーマーケティングの庭山一郎社長による定義だ。


ABMとは、顧客・見込み客データを統合し、マーケティングと営業の連携によって、定義されたターゲットアカウントからの売上げ最大化を目指す戦略的マーケティングのこと。


●ABMはなぜ生まれたのか?MAとは何が違うのか

ここ数年、日本のデジタルマーケティング分野では「マーケティングオートメーション(MA)」が注目を集めていた。MAとは、主にマーケティングの各プロセスを自動化するためのソフトウェア/サービスのこと。メール配信やセミナー管理、Webアクセス履歴、登録フォーム、リード管理、スコアリングなどの機能が搭載されている。庭山社長は「マーケティングをひと言で言うと『売れる仕組み作り』のこと。昨今はMAツールが流行り言葉になっているが、基本的にはBtoBに適したツール」と説明する。

MAでは顧客や見込み顧客に対して、最適なコンテンツを最適な方法で届けることができるため、デマンドジェネレーションを期待した導入が進んだ。デマンドジェネレーションとは、見込み案件の創出のこと。リードジェネレーション(見込み客の獲得)、リードナーチャリング(見込み客の育成)、リードクオリフィケーション(見込み客の絞り込み)という、有望見込み客を営業部門へと渡すための一連のマーケティング活動全般を意味する言葉である。

デマンドジェネレーションという言葉が米国で流行り始めたのは「今から16年前の2000年ぐらいから」(庭山社長)。その発端は、今はオラクルに買収されたEloqua(エロクア:現在のOracle Marketing Automation)というMA製品が登場したことによる。これがきっかけで、米国で急速に普及が進み、大手企業ではデマンドセンターという組織も作られた。

しかしMAを活用し、有望見込み客(リード)を渡しても、なかなか営業が追わない問題が発生。「無視率(営業によるリードの不使用率)が多いことが問題として顕在化してきた」と庭山社長は説明する。

米国では日本とは異なり、トップ企業のほとんどにマーケティング部門が存在し、同部門のメンバーにはマーケティングROI(mROI)が求められる。つまり営業のリード無視率を下げなければ、部門トップのCMOはその責務を負わされることになるわけだ。こうした中、「無視率の解決策を模索する中で登場したのがADRとABMだ」(庭山社長)。

ADR(Account Development Representative)とは、リードを営業や販売代理店に配分する役割を担う組織を営業側に設置することで解決しようというもの。「サッカーにたとえるとトップ下。そこにボールを集めてキラーパスを出し、シュート(営業)を決めてもらおうという方法で、企業によってはBDR(Business Development Representative)、SDR(Sales Development Representative)と呼ばれることもある」(庭山社長)。

そしてもう一つの方向性が、今回のテーマでもあるABMである。ABMでは、MAのように「人単位」ではなく、アカウントベース、つまり企業単位でマーケティングを考えるというものだ。企業単位であることの重要性は後述するとして、「新しい概念として登場したように見えるが、デマンドジェネレーションの問題を解決するための概念であり、デマンドジェネレーションの別物というより、それをベースにした進化形と言える」と庭山社長は説明する。

具体的な違いは下図の通り。「ABMに取り組むと、営業が追いかけたいリードだけが提供されることになり、無視率が大幅に削減できる」(庭山社長)。


●ABMなら米国、日本、それぞれのまったく異なる課題に対応できる

マーケティング先進国の米国において、MAによってリードの「無視率」が高くなった背景には、米国ならではの事情もある。これまで米国ではトップダウンで意思決定されることがほとんどだったため、営業も部門のトップであるCxOにしか会わないという手法を採用していた。したがって、リーダーやマネジメントクラスのリストを渡しても、無視されてしまっていた。しかし、「米国でも意思決定のダウンサイジングが進み、CxOにだけ会うという営業手法ではうまくいかなくなってきた。そこで無視率の低減、これまでの営業手法を見直すことができる手法としてABMに期待が集まってきた」と庭山社長は説明する。

一方、日本におけるMAは、「メール配信ができる環境が整ってきたというステージが多く、無視率の改善というところまでは至っていない」(庭山社長)。

では日本ではABMは無用かといえばそうではない。日本特有の課題、「縦糸しかなく、横糸がないことだ」と庭山社長は指摘する。多くの日本企業では事業部制を採用しており、事業部ごとに製品の開発、製造、販売、サポートはもちろん、展示会の開催までも完結していることが多い。この事業部制の最大の欠点は、隣の事業部が何をしているのかが見えにくいことだ。

「たとえば自分たちがずっとアプローチしたいと思っていた顧客が、実は隣の事業部の得意先だったということがある」

つまり顧客を点でとらえがちで、面でとらえてこなかったのである。顧客を点でしか捉えられていないと、さまざまなビジネスの機会損失が生まれる。たとえばシステムインテグレータであれば、せっかく、常駐して情報システム部との関係を築いているのに、アプリケーションの導入決定権がある業務部門担当者と関係を築けていなかったばかりに、アプリケーション部分を他の会社に取られてしまうということが起こってしまうというわけだ。

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最終更新:9月23日(金)11時40分

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