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経済制裁不況もどこ吹く風、快進撃続く子供市場

JBpress 9月23日(金)6時0分配信

 9月10、11日の週末、モスクワ市内は「869周年」のお祭りで盛り上がった。今年の夏のモスクワは道路工事と相次ぐイベントに終始した感があるが、この869周年で一段落、長い夏も終わりようやくビジネスの季節となる。

 今年のモスクワの夏のイベントは筆者が出張のたびにテーマが変わっていて、7月はアイスクリーム祭り、8月はジャム祭、9月は映画祭と盛りだくさんだった。

 公共支出による景気下支え策なのか、市民の道路工事への不満をそらせるのが目的なのか、その狙いは定かではないが、多くの市民や観光客がイベントを楽しんでいたことは間違いない。

 中でも特に喜んでいたのは子供たちだった。今回は「子供」がテーマである。

 日本におけるロシアに対する思い込みの1つに「ロシアは日本と同様、人口減少問題が深刻である」との指摘がある。これは統計を見れば明らかに間違いである。

■ 人口増加に転じる

 日本はさておき、ロシアに関しては2010年を底にロシアは人口増加に転じている。自然増加数(出生数-死亡数)も2013年にはプラスに転じているのである。

 この背景にはロシア政府が打ち出した強力な少子化対策がある。ウラジーミル・プーチン大統領が2期目を務めていた2006年12月に立法化したもので、2007年1月1日以降に誕生した第2子以降の子供に対し、1人当たり25万ルーブル(当時のレートで105万円、現在のレートでは40万円)の出産・育児手当を支給するものである。

 その後ロシア経済は長期低迷に陥ったが、それでもモスクワの街を歩いているとベビーカーの数がここ数年確実に増えていることは実感していた。

 そして子供の人口が増えればそこにビジネスチャンスが生じるのは明らかである。容易に思い浮かぶのは子供向け用品販売だろう。

 9月はロシアでは新学期のシーズンであり就学期の子供を持つ親の多くが子供のために支出を迫られる。本年のその額はロシアの世論調査機関VCIOMの調査によると、ロシア全国平均で1万4800ルーブル(=約2万4000円)である。

 このうち5900ルーブルが衣服と靴、2200ルーブルがスクールバッグである。昨年の支出総額は2万ルーブルだったので、景気低迷を反映してか支出は4分の3程度に減少している。

 しかし足許の平均賃金は3万8000ルーブル/月程度なので、両親が共働きであったとしても全世帯収入の2割近くを新学期の準備に費やしていることになる。

 こうした子供向け消費に照準を合わせ業績を大きく伸ばしているロシア企業がある。ジェツキー・ミール(子供の世界)だ。

■ 粗利益率30%以上の優良企業

 ジェツキー・ミールと聞くとモスクワに詳しい人であれば、ルビヤンカ広場のFSB(旧KGB)本部の隣にある子供用品デパートを思い出すかもしれない。しかしそのデパートは現在はツェントラルニー・ジェツキー・マガジンと名称を変えており、ジェツキー・ミールとは別会社である。

 ジェツキー・ミールはソビエト時代から続くブランド知名度を生かし、2016年4月現在でロシア全土に432店舗を展開している。ベビー・子供向け用品・衣料専業店舗としてはロシア最大である。

 2015年の売上は600億ルーブル以上、素晴らしいのは粗利益率も30%を上回る高収益を実現していることである。さぞかし高値で売っているのだろうと思いきや、同社のIR担当者によればベビー用品の価格は国内大手スーパーよりも安いとのこと。ちなみに日本製の紙おむつの販売数量は同社がロシア最大とのことであった。

 同社の分析によると、ロシアの子供市場の強みは以下の4つ。

 (1)同社がターゲットする0-12歳人口は2200万人、市場規模は5000億ルーブル(約8000億円)以上と大きい。
(2)今後、子供の人口は毎年50万人以上増え続ける。
(3)2009-2015年の景気後退期においても子供用品セクターは比較的影響が軽微。
(4)2人目以降の子供に対する政府支援。

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最終更新:9月23日(金)6時0分

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