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スーチー女史は「単なる政治家」になってしまったのか? 「ロヒンギャ問題」は見て見ぬふり!?

現代ビジネス 9月23日(金)11時1分配信

ミャンマーのロヒンギャ問題

 フィリピンのドゥテルテ大統領の失言でオバマ米大統領との首脳会談が延期になり、南シナ海での中国の覇権拡張が国際仲裁裁判所で否定されたことへの非難が共同声明に盛り込まれないなど、ミャンマーのアウンサンスーチー国家顧問兼外相も参加してラオスで開催された東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議が大きな注目を集めた同じころ、実はミャンマー国内では思わぬ事態が起きていた。

 9月6日、ミャンマー西部のラカイン州シットウェを訪問したコフィ・アナン前国連事務総長の車列が一般市民に取り囲まれ、ブーイングや罵倒を浴びて一時立ち往生する状況に追い込まれていた。

 8日にヤンゴンに戻って会見したアナン氏は「すべての関係者に理解が得られるアプローチで問題解決を目指したい」と優等生的発言を繰り返しながらも、内心は穏やかではなかったはずだ。

 国際政治の最前線に立って世界の紛争地、被災地、各種イベントなどを巡ってきたアナン氏だが、引退後までも車列が囲まれ、罵詈雑言を浴びせかけられるなどとは思いもよらなかったことだろう。その心中を想像するに「聞いていた話と違い相当に深刻な問題だ」と嘆息したのは間違いない。

 アナン前事務総長がラカイン州を訪問したのは、ミャンマー政府から同国で深刻化している宗教対立問題、つまりミャンマーで多数を占める仏教徒と、少数派でイスラム教徒の「ロヒンギャ」と呼ばれる人々との対立の解決を委ねられ、その最初の仕事としての現地視察だった。

 激動する国際情勢の中でミャンマーのロヒンギャ問題はあまり注目されていないが、約130万人のロヒンギャと呼ばれる民族の人々がそのアイデンティティーや帰属を巡って国内外で難民化、周辺国にも深刻な影響を与えており、潘基文・現国連事務総長までもが懸念を表明する事態になっている。

 この問題解決をアナン氏に丸投げした形のミャンマー政府だが、実質的な指導者であるスーチー女史はこのロヒンギャ問題の解決にはなぜか消極的、いや冷たくさえ見えるとの批判が出ている。

 その姿勢はかつて独裁的な軍政に果敢に闘いを挑み、ミャンマーの民主化運動の旗手として国際社会のみならずミャンマー国内の学生、僧侶、一般市民そして少数民族からも期待が寄せられ、1991年にはノーベル平和賞を受賞した「輝けるヒロイン」像とは異質の「単なる政治家」にしか見えなくなっている、というのだ。

 果たしてスーチー女史は「心変わり」してしまったのだろうか。

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最終更新:9月23日(金)11時1分

現代ビジネス

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