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テロで揺れる国民感情 仏大統領選:野党予備選開始

Japan In-depth 9/24(土) 11:03配信

2017年春に行われるフランスの大統領選挙で、政権奪還を目指す野党の中道右派勢力が、候補者を一本化するために行う予備選挙の立候補が決まった。

サルコジ前大統領やジュペ元首相ら7人の立候補者たちは、これから2 カ月間にわたる選挙戦を行うこととなり、各所で活発な活動が行われている。

そんな中、サルコジ前大統領が「フランス人の祖先はガリア人」と発言したことが大きな論争を呼んでいる。このガリア人と言うのは、現在のフランス地域に住んでいたケルト人のことを指すのだが、フランスの一部の人の間では、移民系のフランス人と区別するためにフランスにルーツを持つ白人をガリア人と呼び分けることもあるため、サルコジ氏がこのような発言をしたと思われる。

公的には、フランスでは民族や宗教、血のつながりに関わりなく、共和国の一員として「自由、平等、友愛」の理念を共有することこそフランス国民の証しになると定義してきた。しかし実際は学校でそう教えられても就職するときに差別など受け、移民の2世、3世は苦労してきたのは事実だ。そういった差別を取り払おうと、毎年いろんなことが改善されてきており、徐々に国民の感情がの変わってきつつある中、テロを受け、最近では極端なナショナルアイデンティティの重要性を強調する議論が増えている。

先日も、TVを中心に露出度が高く、フィガロ紙でコラムも書くエリック・ゼムール氏が、フランス人ならカレンダーに書かれているフランス人の名前を付けるべきだと主張して論議をかもしだしたことがあった。ゼムール氏は、フランスサッカー界のヒーローであるジネディーヌ・ジダン氏よりも、自分はもっとフランス人だと主張する。なぜならジダンと言う名前はカレンダーにないが、エリックはカレンダーに存在するからなど発言している。

こういった論争において、もちろん反論も行われている。今回のサルコジ氏についても、ナジャット・ヴァロー=ベルカセム教育相は、「そのことが小説に書かれていることを知っていますが、子どもたちに語るべきことは小説の内容ではなく、真の歴史です。」と述べており、民主運動党の党首フランソワ・バイルは、「バカげたカテゴリー付けである」とし、フランスを「分裂」させようとする言動を批判している。

また、サルコジ氏の一番のライバルにあたるジュペ氏は、サルコジの発言については「政治的論争的に無意味」と受け流しているが、こういった「イスラムに対するヒステリックな論争が続けばこのまま国民間の対立が起き、内戦になりかねない」とフランス紙、ルモンドのインタビューに答えている。

ジュペ氏は、8月のブルキニ論争の時にも「協和協和を壊すことはよくない」と意見し、先日起こったアジア系を狙う暴力に対するデモ後にはアジアコミュニティーを訪れサポートを約束するなどの活動を続け、「幸せなアイデンティティー」をスローガンに大統領選に挑んでいる一人だ。

ジュペ氏と言えば、L'Expressによる9月のアンケートにて、フランスの政治家で一番好感がもてる人物とい言う結果も出ていもでてる。この結果を見る限りは、フランス国民の大半が望んでいるのは「連帯」であり「分裂」ではないと言う印象を受けうけるのだ。

しかしながら相次ぐテロに強くショックを受け、理性と感情のはざまで揺れる現在のフランス。さらに理想主義を掲げたドイツのがメルケル首相率いる与党ベルリン市議選で記録的な敗北した結果も目の当たりにしている中、人気度が票に反映するとは限らない。まずは11月の中道右派の予備選挙の結果に大きく注目したいところだ。

Ulala(ライター・ブロガー)

最終更新:9/24(土) 11:03

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