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中国本土市場がマクロ統計に反応しないのはなぜか?

マネーポストWEB 9/24(土) 16:00配信

 東京やニューヨーク、香港などでは、中国のマクロ統計に対する関心が比較的強いが、中国本土では、そうでもない。結果が市場予想よりも、良くても悪くても、上海総合指数がそれによって大きく左右されることは少ない。

 なぜだろうか?

 本土相場には核となる材料がある。たとえば、1月の急落以降、白酒セクターが半年程度、買われ続けた。代表銘柄である貴州茅台(上海A株、600519)は1月14日に安値189.34元を付けた後、大きな上昇トレンドが出て、7月7日には高値326.80元を付けており、上昇率は72.6%に達している。ちなみに、この間の上海総合指数は0.3%上昇に過ぎない(ただし、終値ベース、以下同様)。

 また、新エネルギー自動車関連も比較的息の長い相場であった。中でもリチウム電池関連に大きな動きがあった。代表格である多弗多(深センA株中小企業板、002407)は3月8日に安値20.02元を付けた後、押し目を作りながらも上昇、6月16日には高値47.68元を付けており、上昇率は138.2%に達している。この間上海総合指数は1.0%下落している。

 決算発表後は高配当、高分割企業が買われたり、IPO(新規上場)に注目が集まると次新股(IPO後の連続ストップ高の時期が終わり株価が落ち着いた水準にある銘柄や、IPOから1年未満の銘柄など)が買われたり、相場に手詰まり感が高まるとバイオ医薬セクターが買われたり、いろいろな材料が入れ代わり立ち代わり出てきて、それらの間を循環物色が進むことで、相場は動いている。

 本土市場は零細個人投資家の売買ウエートが高いといわれている。それを推計できるきちんとした統計はないものの、業界では大まかに売買代金の8割以上が個人投資家であるとみられている。機関投資家のウエートが香港や東京と比べ圧倒的に低いわけだが、だからと言って彼らの相場への影響が小さいわけではない。

 基本的に零細個人投資家は烏合の衆である。上がるから買い、下がるから売る、あるいは塩漬けにするといった行動パターンが多い。

 しかし、投資成績の良い一部の個人投資家は、主力(あるいは庄家)と言われる資金量の十分大きな投資家(私募基金の運用者あるいは機関投資家など)の動向に注目する。

 全体を通してみれば、機関投資家たちの投資行動が相場全体の方向性を決める形となる。

 彼らの投資スタンスは、長期投資もないとは言えないが、やはり数週間から数か月の中期投資が中心である。マクロ重視<ミクロ重視<テクニカル、需給(金融政策を含む)、政策重視である。一部の個人投資家もそれにならうことになり、値動きは国際情勢よりも、国内情勢、特に当局の市場管理姿勢によって、より敏感に動くことになる。

 こうして特徴を整理してみると、本土市場の特性は東京市場とずいぶん違うように思えるが、しかし、バブル前の日本市場と似ているところもある。

 バブル前の日本市場には、悪い部分もあった。証券会社による大量推奨販売や、インサイダー取引、仕手筋による株価操作、風説の流布の横行など、明らかにただすべきところがあった。しかし、当時のほとんどの個人投資家は日本の将来に希望を持っていた。日本の将来を担う企業を探そうと、いろいろな材料を追いかけることができた。

 本土市場では、電気充電スタンド、自動車間インターネット、ビッグデータ、電子商取引、風力発電、太陽光発電、ごみ処理発電、環境関連、インターネット金融、DNA分析、ロボット、リチウム電池、量子通信、OLED、人工知能、グラフェン、バイオ医薬、テスラー関連、炭素繊維、モノのインターネット、コミューター、衛星ナビゲーション、AR・VR、クラウド、モバイルインターネット、スマートシティ、スマートグリッドなど、将来の中国経済の成長を織り込むような材料がたくさん見られる。

 本土投資家たちがマクロ統計には目もくれず、ひたすら将来の成長企業を探そうとしている点においては、非常にわかりやすい投資行動といえるだろう。

文■田代尚機(たしろ・なおき):1958年生まれ。大和総研で北京駐在アナリストとして活躍後、内藤証券中国部長に。現在は中国株ビジネスのコンサルティングなどを行うTS・チャイナ・リサーチ代表。ブログ「中国株なら俺に聞け!!」、メルマガ「週間中国株投資戦略レポート」も展開中。

最終更新:9/24(土) 16:00

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