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日銀の目標は国会議決なきインフレ税 --- 中村 仁

アゴラ 9/24(土) 7:10配信

戻るに戻れない異次元緩和

黒田日銀総裁の顔つきに最近、疲労の色が増し、別人のようでもあります。デフ レ脱却のためと称して突っ込んだ異次元緩和から引き返せず、「総括的検証」からでてきたのは「長短金利操作付き量的・質的金融緩和の導入。長期化を視野」 です。思いつく限りの政策を難解な言葉で、テーブルの上にすべて並べたてた感じです。

「短期金利はマイナス、長期金利はゼロ」が新政策の目標です。預貯金の金利 は相当な長期間、ゼロが続いています。一般国民の貯蓄からは利子所得は生まれせん。得べかりし利子所得は債務者(最大のものは国家)に移転させられている のと同じ経済現象がこれからも続くのです。多くの国民は「デフレなのだからしょうがない」と、あきらめているのでしょうか。

ほぼ同時に金融緩和の縮小に進もうとしていた米国が、利上げを見送りまし た。日本より体力のある米国でさえ、超金融緩和に踏み込んでしまうと、実体経済の何倍にも肥大化したマネー経済が動揺するため、こわくて容易に方向転換で きません。それなのに、日銀は緩和の道をさらにつき進むというのです。

突出する日銀の国債保有

新聞などが紹介するグラフ、図表の中で最も注目しなければならないのは、中央 銀行がマネー市場に供給した資金量の規模です。名目GDP比で米国は20%、欧州15%に対し、日本は70%で突出しています。震えがくるほど恐ろしい数 字なのに、黒田総裁は「物価上昇率が安定的に2%を超えるまで緩和を継続する」と言明しました。欧米は「前例のない日本の大実験には、この先、どんな事態 が待っているのか見守ることにしよう」という気持ちでしょう。

黒田総裁は何を狙っているのでしょうか。口ではデフレ脱却といいながら、別 の狙いを「インフレ税」に置いているような気がしてなりません。インフレによって、先進国では最悪の国家債務(国債1000兆円)を減価させるのです。こ れを別名「インフレ税」を呼びます。しかも、「インフレ税」という税金は国会の議決なしに進めることができます。

2%目標に届かず、1%のインフレであっても、国家債務は毎年10兆円、減ります。増税で10兆円を稼ぎだすのは大変なことです。10年、続ければ100兆円も減ります。20年で200兆円の減価です。裏からみると、毎年、国会の議決を経ないでも、毎年10兆円の増税ができるのと同じ効果があります。50年で半減です。

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最終更新:9/24(土) 7:10

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