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評価の低いあの人が、なぜ出世するのか?(下)

NIKKEI STYLE 9/24(土) 19:30配信

◆“働かないオジサン”を生みだした昭和の「職能主義」

 あなたの周りにいないだろうか。管理職、ということになっているのだけれど、肩書は参与とか副部長とか具体的に何をしているのかわからない人たちが。

 “働かないオジサン”という概念も、要は誰が何に責任を負うのかわからない組織と人事の仕組みが原因だったりする。なぜそうなっているのか、と言えば実は、今やすでに定年退職ずみの団塊の世代が大きな原因の一つになっている。

 団塊の世代が就職して会社で管理職になりはじめる1980年前後に、企業側では大きな問題が生じた。ポストの数が足りないのだ。なぜなら新卒として採用した団塊の世代は人数がとても多い。課長のポストは5つしかないのに、候補者は10人以上もいる。しかし会社は伸びているし仕事は増えていた(大半の理由は人口ボーナスのおかげだったのだけれど)。だから、課長になれない5人にもやってもらう仕事はあるし、モチベーションを高く持って頑張り続けてほしい。そのために、管理職ではないけれども、“管理職相当”の給与を払って頑張ってもらう仕組みが必要だった。

 それが、「職能主義」であり、職能資格制度だ。当時の日本では常識的ですらあった仕組みだ。誰もその仕組みに疑問は持っていなかったし、経営者だけでなく、多くの従業員にとっても素晴らしい仕組みだった。今なお、職能資格制度を採用している会社は多い。それは、「この人はこれくらいの仕事ができるはずだ」という性善説に近い考え方で人を処遇する仕組みだからだ。

◆海外に進出した日本企業が「職務主義」にスライドする理由

 では今、なぜ職能主義に変わって、職務主義が浸透しはじめているのか。職能主義が性善説だからといって、職務主義が性悪説というわけではない。また、職務主義=職務等級制度はもともと欧米の概念なので、単純に欧米を真似ているのか、というとそうでもない。人事コンサルタントに指摘されるまでもなく、海外に進出した多くの日本企業が、自発的に職務主義を採用している。

 職務主義が浸透しはじめている理由は、ビジネスにおける国境という垣根が低くなっているからだ。それをグローバル化と一言で言ったりもするけれど、グローバルという単語はなんだかあやふやでわかりづらい。国境という垣根が低くなった、という説明もわかりづらいかもしれないが、人やお金や商品が国境を越えて行き来することが増えているということだ。後進国が成長して商売相手になるようになった、とか、先進国内の市場が飽和して伸びなくなった、とか、事情を説明すると長くなるが、要はそういうことだ。

◆昨日と同じルールでは競えない時代

 その影響を受けて、ビジネスのルールが変化している。それがグローバル化の意味であり、より具体的にはこんな影響を指す。

・昨日の競争相手と、明日の競争相手が違う
・昨日のビジネスモデルと、明日のビジネスモデルが違う
・昨日の顧客と、明日の顧客が違う

 競争相手もビジネスモデルも顧客も、過去の日本では、国境という垣根で守られていて、何十年にもわたって大きな変化がなかった。しかし国境の垣根が低くなると、まず競争相手が変わる。規制緩和の後押しもあって日本国内の競争関係も変化したし、新たな市場を求めて海外へ進出する日本企業もあたりまえになっている。

 競争相手が変われば、ビジネスモデルが変わる。業界一律で確保してきた利益率だって、根本的に発想が異なる相手と競争するなら維持することが難しくなる。それがビジネスモデルの変化だ。

 そして顧客も変わる。顧客である人々、企業はより幅広い多様な情報を簡単に入手できるようになったからだ。今まで使っていた商品、今までの取引先よりもさらによい商品や取引先があれば、簡単に相手を選びかえることができる。

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最終更新:9/24(土) 19:30

NIKKEI STYLE

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