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中日、来季への光は「活気を取り戻したファーム」。小笠原二軍監督が伝え続けた『勝利への意識』

ベースボールチャンネル 9/24(土) 11:00配信

2011年以来の勝ち越しで2位

 9月22日のウエスタンリーグ広島戦は雨天中止。再試合は行われない取り決めになっているため、中日ドラゴンズのファームは、今季の日程をすべて終えた。実に20試合が中止となり、111試合で61勝43敗7引き分けの2位が確定。17日には福岡ソフトバンクに5連覇の胴上げを目の前で見せつけられたが、一時は首位を走るなど、ファーム日本選手権を制し、一軍とアベック優勝を果たした2011年以来の勝ち越しである。

「小笠原(道大)監督の野球は、見ていて『面白い』というエキサイティングな感じじゃないけれど、終わったら勝っている。落合(博満)さんが監督の時と似ているかな」

 ナゴヤ球場に度々足を運ぶという男性ファンは、「今年はナゴヤドームよりも、こっちのほうが楽しかった」と笑顔を見せながら、ファームへの期待を口にした。

 小笠原監督が率いるファームの充実は、春季キャンプの頃から話題になっていた。常に緊張感が漂い、全体練習が終わったあとも、若手が我先にと個人練習に打ち込む。視察に訪れた他球団のスタッフが「北谷(一軍)と読谷(ファーム)で紅白戦をやったら、読谷が勝つんじゃないか」と目を丸くしたように、ウエスタンリーグが開幕すると順調に白星を積み重ねる。

 実戦でも、ミスを叱責するのではなく、失敗した原因を考えさせながらチャンスを与える方針で、選手たちはのびのびとプレーする。そうした中で、勝ちグセをつけていったのが大きかった。

ファームが活気を取り戻した

 ファームの役割は一軍に送り込む戦力を整えることで、実戦での勝敗は度外視し、あくまで選手のスキルアップに注力するケースも少なくない。そして、一軍の舞台で磨き上げたパフォーマンスを発揮するのだが、それをチームの勝利につなげることも重要だ。そう考えれば、技術の向上と並行して、送りバントを一発で決める、追い込まれたカウントでも右方向へ打つといった、チームを勝利に導くことができるプレーを追求しなければならない。

 だからこそ、自らの数字を上げていくことだけではなく、その上でどうすれば目の前の試合に勝てるのかを考え抜くことが大切だ。

「小笠原監督には、どんな試合でもゲームセットが宣告されるまで諦めず、勝つことだけを考えてプレーするように言われてきました」

 そう石川 駿が振り返るように、勝利を強く意識することで、自分は何をすべきか見ていてきた選手たちは、より実戦的なスキルを身につける。さらに、7月まで首位を走り、福岡ソフトバンクとの優勝争いを経験したことで、来季以降に向けた貴重な経験を積んだと言っていい。

 8年間で5回の日本シリーズ出場と黄金時代を築いた落合監督も、ファームは育成の場と位置づけた。だが、ウエスタンの成績以上に、いつ一軍に昇格しても同じようにプレーできる選手の育成を求めた結果、ファームも2004、2007、2009、2011年と、4回の優勝を果たしている。やはり、勝利は成長への一番の糧となるのだ。

 小笠原監督の方針によってファームが活気を取り戻したことは、4年連続Bクラスに沈んだ一軍の戦いに、大きな刺激を与えていくことは間違いない。入団直後に椎間板ヘルニアの手術を受け、プロでのスタートが大幅に遅れた石岡諒太など、近い将来に大きく飛躍しそうな選手は何人もいる。新体制で臨むであろうフェニックスリーグや秋季キャンプで、そうした若いタレントがどんな成長を見せてくれるのか注目したい。


横尾弘一

ベースボールチャンネル編集部

最終更新:9/24(土) 11:00

ベースボールチャンネル

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