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祝・Bリーグ開幕!日本型意思決定にKYな川淵イズムの奇跡再び --- 新田 哲史

アゴラ 9/24(土) 7:10配信

どうも新田です。いやはや、昨晩のBリーグの開幕戦、ローンチを飾るにふさわしい素晴らしい試合でしたね。スポーツ記者時代、野球かラグビーかボクシングの取材が大半だったこともあり、「スラムダンク世代」にしては、バスケットボールのリテラシーがルールすら怪しい程度なのはお恥ずかしいのですが、それでも、これだけの規模のプロスポーツリーグの発足は10年に一度あるかないか。ビジネス的な視点からの興味もあってテレビ観戦しておりました。

バスケ界の混乱を収めた豪腕は健在だった

LEDの電飾を駆使したコートなどショーアップ化した会場の雰囲気、あるいは記念すべきリーグ初得点が外国人選手というあたり、1993年のJリーグ開幕戦を彷彿とさせましたが、日本バスケ界を最大の窮地から救って「奇跡」のような、この日に道筋を付けた川淵三郎・前JBA会長の凄みに恐れ入りました。

数年前、某政治家と川淵さんとの対談に隣席する機会がございまして、正直言うと、当時すでに70代後半、好々爺といった雰囲気に、豪腕の異名は過去のことだと感じたものでした。なので、プロリーグが10年近く分裂したままの日本バスケ界を立て直すのには、川淵さんといえども苦戦するのではないかと率直に危惧しておりました。

その時点で無期限の国際試合停止の制裁を科した国際バスケットボール連盟(FIBA)の外圧を後ろ盾にしていたとはいえども、しかしバスケ素人の私の杞憂でしたね。半年ほどで新リーグ創設に道筋をつけ、FIBAの制裁解除を五輪予選に間に合わせた折は「豪腕健在キターっ」と心の中で思い切り平伏いたしました。

スポーツ界にも巣食う日本型意思決定システム

前述のように、運動記者時代の私は担当外のバスケにほとんど関心がありませんでしたけども、その頃は総理経験者の麻生さんがバスケ協会会長をやっていても、内紛続きの報道が散発している様にバスケ界のヘタレっぷりに呆れていたものです。停滞気味の競技団体のなかには、大物の政治家や財界人を会長職で迎えているところもあったりします。バスケ界はその典型でした。

ちなみに、「なんでバスケは麻生さん、ラグビーは森さんを会長にするんですかね」と、ベテラン記者に尋ねたら「何かあった時の“用心棒”で雇っている」と教わったものです。

いま考えると、その「用心棒案件」というのはおそらく競技場の整備費の陳情など永田町・霞が関案件対策なんでしょうか。バスケのリーグ分裂のように利害が複雑に絡んだ問題の解決や、FIBAの制裁のような緊急事態には機能不全に陥っているのが正直なところでした。

池田信夫がしばしば書いている「日本型意思決定システム」(http://agora-web.jp/archives/2021363.html)の典型だと思いますが、名目的なリーダーを「神輿」に担ぎ、意思決定はボトムアップで、かつ組織内(あるいは業界内)の合意形成を重視しているわけですから、スピード感に欠け、紛糾する利害を調停・裁定することができず堂々巡りになるわけですよ。元法制局長官やら元公取委員長あたりを据える日本のプロ野球のコミッショナーはまさに「神輿」。12球団オーナーがコミッショナーの任免権持っているから何か改革する時に意思決定がスタックしやすいわけです。

Bリーグの設立に至る詳しい経緯は、今後また研究してみたいと思いますが、Jリーグ創設に至る経緯を振り返ると、80年代後半のサッカー界もまたプロリーグ創設の方向性が決まった後も、プロ野球全盛の当時「チーム名に企業名は入れろ」的な意見が出たりして、欧州型の地域密着型プロクラブの構想が進まない恐れもありました。

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最終更新:9/24(土) 7:10

アゴラ

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